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Story08 インタビュー

研究を重ねた、多様な人に配慮した男女共用トイレが実現。使用者の声から見えた、その使い勝手とは?

story08 研究を重ねた、多様な人に配慮した男女共用トイレが実現。使用者の声から見えた、その使い勝手とは?

昨今、注目を集めている公共施設などの男女共用(オールジェンダー)トイレ。より多くの方がスムーズに使えるよう、たくさんの工夫が盛り込まれています。そこで今回は、横浜駅構内に男女共用トイレを設置した東急電鉄株式会社様に、改修の背景をインタビュー。改修前・改修後の利用実態調査を行ったTOTOの担当者を交え、設置後の反響や男女共用トイレの展望について対談いただきました。

  • 東急電鉄株式会社 鉄道事業本部 工務部 施設課
    岩淵紗葵(いわぶち・さき)さん
    2017年入社。駅舎をはじめとする鉄道施設の改良に関する事業計画の策定・推進、および設計・工事監理業務に従事。トイレのリニューアルのほか、横浜駅構内の各種改修工事の推進を担当。2019年以降は工事監理業務に携わる。
  • TOTO株式会社 UD・プレゼンテーション推進部 UD推進グループ
    佐藤敬子(さとう・けいこ)
    2005年入社。パブリックトイレのレイアウト提案や提案コンテンツの制作に従事。2015年よりユニバーサルデザイン視点での販売促進・商品開発支援に携わる。多様な人の水まわりの利用実態やニーズを調査・研究し、より多くの人が使いやすいトイレのあり方を提案。

男女共用エリアを計画。バリアフリートイレ、男女共用広めトイレを2つずつ配置

男女共用エリアを計画。バリアフリートイレ、男女共用広めトイレを2つずつ配置

岩淵紗葵さん(以下、岩淵)
佐藤敬子(以下、佐藤)

 横浜駅構内の公共トイレを改修した経緯をお聞かせください。

岩淵:
横浜高速鉄道みなとみらい線と東急電鉄東横線が相互直通運転する横浜駅は2004年に開業しました。現在、1日の平均利用者は合わせて約24万人(2020年度)という一大ターミナル駅です。しかし、開業から14年が経ってトイレまわりの設備が陳腐化し、さまざまな課題が顕在化していました。そこで、横浜高速鉄道さんとともに、TOTOさんに利用実態調査を依頼し、その結果を踏まえながら改修計画を立てたのです。2018年に設計を始め、2019年から工事に着手しました。

 具体的にはどういった課題があったのでしょうか。

岩淵:
まず、男女ともに便器の半数が和式だったので、お客様からは洋式化してほしいという声をいただいていました。和式が忌避されることも原因のひとつとなり混雑も起こっていて、利用実態調査では女性トイレに最大20人ほどが並んでいたことを確認しています。男性トイレは入り口が2カ所あったため、お客様が並ぶ場所に困惑される場面もありました。 また、ちょうど改修の計画を始めた頃から、バリアフリー(多機能)トイレの機能分散が謳われるようになりました。バリアフリートイレにさまざまな機能を盛り込んだ結果、利用が集中し車いす使用者の方から使いたいときに使えない、という声が上がっていたそうです。この状況を改善するため、乳幼児連れの方のための設備などをトイレの別の場所に設けるという考え方です。これを受け、横浜駅でも機能分散を実現しようと試みました。
<改修前後の違い>

性別を問わないトイレを望む人が利用できるよう、男性トイレと女性トイレの間に男女共用エリアを設け、個室を4ヵ所整備しました(資料提供/以降、すべてTOTO)

 改修のポイントを教えてください。

岩淵:
女性トイレは和式が5室・洋式が8室の計13室だったところを、洋式15室に変更。男性トイレは和洋4室ずつの計8室を洋式10室に増やしました。男性トイレの入り口は1カ所に集約し、動線をわかりやすくしています。女性トイレは、トイレに並ぶ方とスタイリングコーナーを使用する方が互いに邪魔になりにくいよう、スタイリングコーナーの位置を半ば独立させました。 また、今回の大きな課題は、「一般トイレの室数を確保しながら、いかに機能分散を実現するか」でしたが、それを両立するため、これまで男女別トイレ内に1室ずつ設置していた多機能トイレを男女別トイレの外に出し、新たに男女共用広めトイレ2室を設置しました。男女共用広めトイレを設置したのは、あらゆる方が入りやすくしたかったからです。機能分散を盛り込むためにTOTOさんのセミナーに何度か参加し、性的マイノリティの方や異性介助を行う方が男女別トイレに入りづらくて困っていることを知って、さまざまな方にご利用いただけるトイレにできればと考えました。
佐藤:
TOTOでは長らくトイレのユニバーサルデザインについて調査研究し、社内外への情報発信や提案活動を行ってきました。私が特に力を入れているのがパブリックトイレのユニバーサルデザインです。人が快適に社会生活を送るためには、公的な場所に安心して使えるトイレが整備されていることが必要だと考えるからです。 先ほど岩淵さんのお話にあったように、国土交通省から機能分散が推奨されるようになり、私たちも車いす使用者の利便性向上という点からは賛同しました。一方で気になったのは、トランスジェンダーの方や異性介助が必要な方からの「私たちが使えるトイレが無くなってしまうのではないか」という不安の声です。これまで多機能トイレは、性別を問わず利用できるトイレを必要な方々の受け皿になっていたからです。 ただ機能分散を推し進めるだけでは、別の誰かの使いづらさを生むことにならないか。そうした懸念から、性的マイノリティ、発達障がい者、乳幼児連れ、高齢者介助をする方に対し、どのような困りごとやニーズがあるのか、改めて可視化する作業を行ってきました。その結果を踏まえて、私たちはいま「パブリックトイレには男性トイレ、女性トイレ、車いす使用者トイレ、男女共用広めトイレが設けられ、利用者が選べる状態が理想ではないか」と考え、公共施設に向け提案しています。

まだ前例が少ない男女共用トイレ。配置は悩んだといいます

左/女性トイレの個室数が増え、最大の課題であった混雑が緩和。右/スタイリングコーナーの位置が変わったことにより、落ち着いて利用できるスペースになりました

間口を広く取り手前にベンチを置くことで、「入りやすい」トイレになった

間口を広く取り手前にベンチを置くことで、「入りやすい」トイレになった

 改修前だけでなく、改修後も調査をしたのはなぜですか?

佐藤:
今回改修された横浜駅のトイレは、これまで私たちが提案してきた形に近いトイレになっています。そこで東急電鉄さんに、改修後のトイレがどのように使われているのか、当事者にとって使いやすいものになっているのか、使い分けがうまくいっているのかを確認したいとご相談し、利用実態調査を実施することになりました。

 調査の結果はいかがでしたか?

佐藤:
新たに設置されたバリアフリートイレ・男女共用広めトイレを対象に、3つの調査を行いました。1つめは、利用者数・時間等の実態を把握するための目視・カウント調査です。平日は7:40から18:50の間に118人、休日は10:00から18:30の間に103人の利用があり、どのトイレもまんべんなく使われていることを確認しました。平日の朝の利用が多く一時的に待ちが発生することもありましたが、短時間で解消されていましたね。 また、男女共用トイレ前に設置したベンチは、お連れ様を待つスペースとしての利用をはじめ、さまざまな用途で活用されていました。
岩淵:
私も横浜駅近辺に来たときは意識して立ち寄るようにしていたのですが、ご家族連れの方がベンチに座られているのを見て、想定していた使い方をされているなと嬉しくなりました。
佐藤:
2つめが出口アンケート調査です。平日と土曜の計2日間で60人からの回答を得ました。満足度は「とても満足」「満足」が合わせて9割という結果で、その理由として「掃除が行き届いている」「広い」「明るい」などが挙げられました。明るいこと、ブースの奥に掃除用流しがあって人の目が行き届くことから、「女性でも安心して利用できる」「入りやすい」というコメントをいただきました。
岩淵:
男女共用トイレはまだあまり見慣れないものだと思いますが、間口を広く取ってコンコースから見えやすいようにし、入り口付近にベンチを置いたことで、入りやすく思っていただけたのかなと思います。一方、女性用トイレのすぐ隣に男女共用エリアを配置したために、男性のお客様が男性トイレと間違えて入ってしまうケースもあるようで、これは今後の課題と捉えています。
佐藤:
男女共用広めトイレに入られた方に理由を聞いたところ、「広いから」が多かったのですが、実際に大きな荷物を持った方、ベビーカーを使っている方、親子連れの方に使われていて、さまざまな状況に応じて柔軟に利用されていると感じました。また、アンケート調査の際に性的マイノリティかどうかは不躾なので確認しませんでしたが、「男女共用だから(性別に関係なく利用できる)」と答えてくださった方も10%いました。
  • <男女共用トイレ>

    左には車いす使用者やオストメイトの方向けの設備が揃ったバリアフリートイレ(A/B)を、右にはベビーシート・ベビーチェア・フィッティングボードが揃った男女共用広めトイレ(C/D)を設置しています。掃除流しが奥にあり清掃員の目が行き届く、警備員巡回など運用面も配慮

  • <利用者数>

    トイレA/BとトイレC/Dはほぼ同人数利用されています。トイレC/Dでは手前にあるトイレDの方がより利用されています

<利用者属性>※利用者の属性は調査員が外見より判断したもの

属性は調査員が外見をもとに判断したものなので、性的マイノリティやオストメイトの方が含まれていた可能性があります。休日は平日に比べ、お子様連れの利用が多数

<男女共用トイレを利用した理由>

男女共用トイレを利用した理由は「広い」からと回答した人が多数。女性は「ベビーカーで入れる」「2人以上で入れる」、男性は「大きな荷物を持って入れる」という視点から広さを求めていました

左/車いすでアプローチしやすいバリアフリートイレ。右/男女共用広めトイレはバリアフリートイレほどの広さはないものの、ベビーシートなども揃っていて乳幼児連れには十分な広さ

当事者ヒアリング調査から見えてきた男女共用トイレのニーズ

当事者ヒアリング調査から見えてきた男女共用トイレのニーズ

 3つめの調査はどのような内容だったのでしょうか。

佐藤:
乳幼児の保護者、発達障がい児の保護者、高齢者の介助者、トランスジェンダーを対象にした男女共用トイレの当事者ヒアリングです。調査対象を事前に抽出し、現地で実際に使っていただきヒアリングを行いました。回答者数は計19名です。 利用したいトイレを聞くと、想定通り、男女共用広めトイレが最も多い結果になりました。理由として、乳幼児の保護者からは「子連れで入りやすいから」、発達障がい児の保護者からは「男の子を連れて女性トイレに入りづらい一方で、バリアフリートイレに入るのは心苦しいから」、トランスジェンダーの方からは「見た目は完全に心の性別と同じだけど、男女共用トイレのほうが安心して使える」といった声が上がりました。
岩淵:
「広さがちょうど良い」という意見も多かったですね。
佐藤:
発達障がい児や高齢者の付添の場合、「排せつ介助をするわけではないけれど、同じ空間で見守りしたい」というニーズがあり、男女共用広めトイレはちょうど良いサイズ感のようです。

 入り口から見て左は車いす使用者が入りやすい広さとオストメイトの方が使う汚物流しを取り入れたバリアフリートイレで、右はベビーシート・ベビーチェア・フィッティングボードがついた男女共用広めトイレ。当事者の皆さんは、どうやって左右で仕様が違うことを見分けていたのでしょうか。

佐藤:
入り口のサインや扉横のピクトグラムでちゃんと見分けられたとおっしゃっていました。選択するポイントとしてどの属性の方からも挙がったのが、「バリアフリートイレは、車いす使用者のために空けておいたほうがいいだろうと思った」という回答です。また、バリアフリートイレは自動ドア、男女共用広めトイレは手動ドアなのですが、トランスジェンダーの方からは「視線が気になるのでさっと入れる手動ドアがいい」という声も聞かれました。

男女共用エリア。向かって左がバリアフリートイレ、右が男女共用広めトイレ。海外の方でも視覚的に室内の設備がわかるよう、扉や扉横にピクトグラムを掲示しています

 そのほか、印象的だった点はありますか?

佐藤:
発達障がい児の親御さんがお手紙をくださったんです。その方のお子さんは聴覚過敏のため音消し用の擬音装置を怖がっていて、周囲から音が聞こえてくる女性トイレには入れないそうです。天井まで壁でふさがった個室のバリアフリートイレが唯一使えるので、そうしたトイレが備わっている駅は本当にありがたい、と書かれていました。 ただ、見た目には障がいがあることがわからないので、バリアフリートイレに入るときは肩身の狭い思いをするとのこと。「障がいがあるように見えなくても、バリアフリートイレを必要としている人がいるという理解が進むとうれしい」という切実な声をいただきました。私たちメーカーは快適で使いやすい空間・設備などのハードの提案がメインワークだけれど、こうした情報発信に関してももっとできることがあるのかもしれない、と思いました。 また、あるFtMトランスジェンダー(※)の方は、ビジネススーツのときは男性トイレを、生理のときはチャームボックスのある男女共用トイレを使っているとおっしゃっていました。同行者の属性や、カミングアウトをしているかしていないかといった関係性によっても使用するトイレを変えるそうです。本当にさまざまなことに気を遣いながらトイレを選ばれていると知り、そうしたニーズに柔軟に対応できるトイレを提案していきたいと改めて感じました。
(※)身体の性は女性、性自認は男性
<利用したいトイレと理由>

「車いす用トイレは空けておきたい」と考える人が多いなか、「ベビーシートが設置されている男女共用広めトイレは、お子さん連れの方に遠慮する」と語る高齢者介助者も

<男女共用トイレの評価 使いやすかった点>

トイレA

  • 聴覚過敏があるので擬音装置がついていない点がよかった。広さは十分。(30代女性・発達障がい児 5歳男の子)

トイレB

  • 広くて入りやすい。手すりは必須。呼び出しボタンと洗浄ボタンも区別できた。

トイレC

  • 暗いと怖がるが、ここは明るいのでまったく問題ない。(40代女性・発達障がい児 6歳男の子)
  • 広さは十分で清潔。
  • 洗浄スイッチが便器背面だけでなく横壁にもあるので高齢な母にも操作しやすい。(60代女性・母親87歳)

トイレD

  • ベビーカーで入っても広くて丁度良い。(40代女性・2歳男の子)
  • 兄弟児も含め3人でもトイレに入れる広さでよい。(40代女性・発達障がい児 7歳男の子)
  • 夫と一緒に入れる広さ。手すりもあるのでよい。(70代女性・夫78歳)
  • A/Bは広すぎるがC/Dは丁度よい。Dは大便器が奥にあって落ち着く。動線も違和感なく入れてよい。(20代 Xジェンダー(MtX))

全体

  • こちらのトイレのように4個(複数あると)は入りやすい。(20代 トランスジェンダー(FtM))
  • 明るいと高齢者も見えやすいのでよい。人通りもあり、人の目が届いているので安心する。(40代女性・父親70歳)
  • 掃除が行き届いており気持ちがよい。壁のデザインも好き。(60代女性・夫73歳)

明るいことやちょうどよい広さを評価する声が多数。トランスジェンダーからは、男女共用の個室トイレが複数あることで利用しやすいという声も

<男女共用トイレがあることでのトイレの利用しやすさ>

 男性トイレ/女性トイレとは別に男女共用(性別問わずに利用できる)トイレがあることは、トイレの利用しやすさにつながると思いますか。

異性の同伴者と入れる

  • 目を離すことが心配なので、一緒に入りたい。(発達障がい児の保護者)
  • 異性の親子で入れる。(高齢者の介助者)

性別問わず利用できる

  • 一緒にいる相手・自分の服装などに合わせて選択できる。性別の移行期間に使いたかった。また今でも男性トイレが混んでいるときに使いたい。(トランスジェンダー)

男女トイレから独立している

  • 男女トイレから独立しているのがよい。女性トイレで並んでいるとおむつ交換台が設置されているブースだけを待たなければならない。(乳幼児の保護者)

女性専用がいい

  • 汚れが気になるので、できれば女性専用で子どもと入れる広いトイレが理想。ここのトイレは明るくきれいなので男女共用でも問題なし。(乳幼児の保護者)

「男女共用トイレがあることが利用しやすさにつながるか」という質問には全員が「とてもそう思う」「そう思う」と回答
※n<30のため参考値

<まとめ 対象者属性別>

対象者属性 男女共用トイレに関する評価
乳幼児連れ
  • おむつ交換台などが設置されたベビーカーや親子で入れるトイレを望む。
  • 男女共用ではなく女性専用を望む声もあるが、混雑しがちな女性トイレから独立している点は評価されている。
  • 明るく人の目が行き届いていることで不安が払しょくされる。
発達障がい児の保護者
  • 目を離せないため一緒にトイレ内に入りたいニーズがある。
  • 特に親と子どもが異性の組合せの場合に男女共用トイレを望まれる。
  • 聴覚過敏のお子様もいるため静かな個室が望まれる。
高齢者の介助者
  • 排せつ介助までは必要なくとも高齢な親族を見守りたい気持ちがある。
  • 2人で入れるスペースと手すりが設置されたトイレを要望。
  • バリアフリートイレほどスペースは必要としないため、それとは別にあるとより気兼ねなく利用できる。
トランスジェンダー
  • 性別の移行期に性別を問わずに利用できるトイレが必要。
  • 移行期でなくてもトランスジェンダーによっては自分や周りの状況に合わせて利用するトイレが選べることが安心感につながる。
  • 男女共用トイレが複数あることで他の利用者への気兼ねが軽減する。

男女共用トイレ、今後の展望

男女共用トイレ、今後の展望

 今回の調査を受けて、男女共用トイレは今後どう変化していくべきだと思いますか?

佐藤:
男女共用トイレを必要としている方がいることを知って、実際に整備してくださる現場が少しずつ増えてきました。今回、実際の現場を見ながら当事者にお話を伺い、使い勝手を確認するというのは当社としても初めての試みで、本当に貴重なご意見が得られたと感じます。こうした調査を積み重ねていくとともに、今後は一歩進んで「男女共用トイレ内でもっと工夫できることはあるか」「利用したいトイレを選びやすくするにはどうしたらよいか」「男女共用トイレ以外の解決策もあるか」といった視点でも研究を続けていきたいと思います。
岩淵:
この調査を通じて、男女共用トイレの必要性を再確認できました。ただ、「とにかく男女共用トイレをつくればいい」というわけではないと思っています。設置の仕方やサインなどきめ細やかな配慮が必要ですし、各駅の特性や時代によってもお客様が求めるものは変わってくるはずです。それらを踏まえながら、さまざまな方のニーズに応えられるトイレを模索していきたいですね。

<利用実態から見えた男女共用トイレを計画する際のヒント>

多様な人が利用しやすく

男女共用トイレを整備する

異性による介助・同伴で利用する方やトランスジェンダーはもとより、大きな荷物を携行している人や急を要している人など多様な利用者への配慮につながる。

バリアフリートイレとは別に広めの男女共用トイレを設置する

バリアフリートイレを車いす使用者へ空けようとする意識が働くため、男女共用トイレが複数個あることで車いす使用者以外の利用者も気兼ねなく利用できる。

利用したいトイレを選びやすく

利用したいトイレが見分けやすい、トイレ内の設備がわかりやすい、サイン・表示とする

安心して利用できるよう清掃や警備の人などの目が届きやすくする

個室トイレの空き状況をわかりやすく表示する

乳幼児連れ配慮をする場合は、ベビーカーが入りやすい扉とする

より一層の利用者の分散

一般の男女トイレ内のトイレブースも荷物配慮を充実し大きな荷物を携行した人の一般トイレの利用を促す

建物用途、利用者数、利用者の特性などによりトイレのあり方はさまざまです。
本調査の結果は検討の際のひとつの参考としてご活用ください。

編集後記パブリックトイレのバリアフリートイレと通常の個室トイレの利用を通して見えてきた課題を解決するため、新たに考案された男女共用トイレ。パブリックトイレはより多くの人が安全・安心に外出するための、いわば「駆け込み寺」です。駅というまさに多様な方々が利用する場所への設置により、心強く感じる人は少なくないのではないでしょうか。今回のようなリサーチと社会実装を交互に繰り返しながら、さらに進化したパブリックトイレが増えていくに違いありません。まだ希少な男女共用トイレ、見つけたらぜひ使ってみてください。編集者 介川 亜紀

写真/鈴木愛子(特記以外)、取材・文/飛田恵美子、構成/介川亜紀  2022年1月25日掲載
※『ユニバーサルデザインStory』の記事内容は、掲載時点での情報です。


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