ユニバーサルデザインStory別冊

もっとつながろう、もっと楽しもうユニバーサルデザインStory別冊

これまで公開したコラムとスピンオフ情報も。

別冊01

セクシュアリティは多様、
みんなが心地よく使えるパブリックトイレとは?

LGBTの尊厳と社会運動を象徴しているレインボーフラッグ(写真/鈴木愛子)

性的マイノリティ-LGBT-は、日本の全人口の約10%を占めると言われています。
(出典:2019年LGBT総合研究所調べ)
日常生活での困りごとのひとつが、外出時のトイレ。
既存の男性用・女性用に分けられたトイレは心理的に入りにくく、
トイレの利用を我慢しているなど切実な悩みを抱えています。
調査・研究を重ねた結果、TOTOは、性別問わず利用しやすい
新たなパブリックトイレの必要性を切に感じ実現化に向けて動き出しました。
これは、お子様や高齢者、発達障がいのある方などの
異性による介助・同伴で利用する場合にも同様に求められる、
重要なユニバーサルデザインだからです。

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アンケート調査結果
多様な性のあり方にも配慮した一人でも多くの人が利用しやすいパブリックトイレとは?

2024年9月、TOTOはトランスジェンダーとシスジェンダー2,000名を対象に外出先トイレの利用実態やトイレ利用時のストレス・ニーズに関するアンケート調査を行いました。(協力:株式会社 LGBT総合研究所)

<調査結果の概要>

  1. トランスジェンダーはシスジェンダーに比べて『バリアフリートイレ』や『男女共用トイレ』を利用したことがある人が多い。(Q1)トランスジェンダーが『バリアフリートイレ』や『男女共用トイレ』を利用する理由として、自身の性や性のあり方を人に知られたくない気持ちや男女別に分かれているトイレへの抵抗感があるとの回答がシスジェンダーと比較して高く、性別を問わずに利用できるトイレが安心して利用できるトイレの選択肢となっていることが伺える。(Q2・Q3)
  2. トランスジェンダーは外出先トイレ利用時に、周囲の視線や他利用者との遭遇、性別問わず利用できるトイレが限られること、『男女別トイレ』しかないことなどにストレスを感じている。周囲の視線は、トイレに入る際や手洗い利用時にもストレスを感じている。(Q5)男女別のトイレしかないトイレの利用にストレスを感じるトランスジェンダーは39.5%。(Q6)
  3. トランスジェンダーは『バリアフリートイレ』や『男女共用トイレ』のニーズがある。(Q10)すべてのトランスジェンダーが『男女共用トイレ』を望んでいるとは限らず、人により使いたいトイレは異なる。そのため、トイレの選択に幅が持てるよう準備することが重要と考える。
  4. 男性トイレ・女性トイレ・バリアフリートイレとは別に『男女共用個室トイレ』がある場合、トランスジェンダーの約6割は利用することがあると回答。シスジェンダーの約4割に比べて多い。 (Q11)
  5. トランスジェンダー、シスジェンダー共に、自分自身が『男女共用個室トイレ』を使う意向がなくても、さまざまな人が利用しやすい『男女共用個室トイレ』が、公共トイレに普及することに賛意を示している。(トランスジェンダー:77.3%、シスジェンダー:71.6%)(Q20)
※1 トランスジェンダー:生まれたときに割り当てられた性別とは異なる性自認を持つ人 ※2 シスジェンダー:生まれたときに割り当てられた性別と性自認が一致する人 ※3 建築用途:駅舎などの交通施設、商業施設、交通施設、オフィスなどの住宅以外の施設
外出先トイレのストレス
レインボーマークをトイレに掲示することについて

詳しい調査結果は、こちらから。

パンフレット、無料配布中
『考えよう!みんなのパブリックトイレ -男女共用トイレについて- 』

2022年9月、TOTOは「考えよう!みんなのパブリックトイレ -男女共用トイレについて-」を発行しました。異性による介助が必要な方や、性的マイノリティのトランスジェンダーの中には、男性用・女性用に分かれたトイレに『心理的な入りにくさ』を感じている方がいらっしゃいます。かといって、介助者と一緒に使うこともできるよう男女共用であることの多い車いす使用者トイレは、車いす使用者の方のためのトイレという印象が強く、利用をためらうという意見も。このパンフレットは男女別のトイレのみでは使いづらさを感じることのある方の切実な悩みや困りごと、男女共用トイレの現場事例、みんなが安心・快適に使える設備などをわかりやすくまとめたものです。

パンフレット発行にあたり
トイレ利用は個人の尊厳、だれもが利用しやすいトイレを
「多様性と調和」が、東京2020オリンピック・パラリンピック大会で広く知られるようになりました。時代は国籍、障害、年齢、性別を問わない共生社会を目指しています。公衆トイレをはじめ、駅や職場や学校などのトイレはその共生社会を映し出す鏡です。そのトイレを気兼ねなく、気持ちよく利用できるようにしたいと考えています。私たちは多様性の受容といいながらも、自分と他者との違いを見出し、知らず知らずのうちに自分の優位性を探してしまい、困っていることに気づかないことがこれまでの普通でした。特にトイレでの困りごとは誰にも言えないのです。多様なトイレのカタチは施設の規模や用途によってさまざまですが、そのどれにでも性別を問わないトイレが一つでも二つでも出現することを願っています。トイレ利用は個人の尊厳です。あなたの気付きが共生社会への扉になります。だれもが利用しやすいトイレを考えてみませんか。

東洋大学名誉教授 髙橋儀平

パンフレットはこちらから閲覧、およびご請求ください。

UD Story All gender toilet

男女共用トイレの現場事例
ひとりでも多くの方に心地よく使ってもらうために

  • 男女共用トイレ
  • オールジェンダートイレ

最近、注目されている男女共用(オールジェンダー)トイレに関するコラムをご紹介します。
実際に男女共用トイレを設置した施設の施主・設計者・利用者などから、設置した背景や使い勝手についてお話を伺いました。
これからのトイレのあり方のひとつの参考として、WEBサイトのコラムをご覧ください。

近畿大学中央図書館

KADOKAWA所沢キャンパス

横浜高速鉄道みなとみらい線・東急電鉄東横線
横浜駅

UD Story LGBT

世の中に存在する多様な性のあり方
みんなが気兼ねなく使えるトイレを模索して

  • だれでもトイレ
  • トランスジェンダー

性的マイノリティ-LGBT-という言葉は広まりつつあるものの、正確に理解している人は多くありません。これまでの男・女という性区分に限らず性のあり方は多様であり、パブリックトイレについてそれぞれが異なる悩みや違和感を抱えています。そういった方々が駆け込み寺のように使っているのが、「だれでもトイレ」(※)。一方で、「だれでもトイレ」を使うのに気がひけるという意見もあります。
性的マイノリティの方がもっと気兼ねなく、快適に入れるように、今TOTOでは、「男女共用個室トイレ」を複数設置する提案をしています。施設のどのような場所に設置すべきかなど、ひとつひとつ課題を検討しながら、今後も進化を続けていきます。 (※)「だれでもトイレ」とは多機能トイレなどの男女共用トイレを指す

UD Story トイレの本質

既存のトイレは本当に快適?
性的マイノリティ視点から見るトイレの未来像

  • セクシュアリティ
  • 座談会

さまざまなセクシュアリティの皆さんが一堂に会した座談会で、ホルモン治療などによる身体の変化に合わせて、男女いずれのトイレに入るか決めるなど、常に周囲の目を気にしながらトイレを使っている様子が浮き彫りに。一方、小便器がずらりと並ぶ男性トイレに居心地の悪さを感じるなど、一般的なトイレ空間に対しての疑問も少なくないことがわかりました。
こうした意見の中から見えてきたのは、トイレが男性・女性用に分かれていることや、それぞれの空間デザインなど、これまで常識とされてきた要素を一旦拭い去って、新たな理想のトイレを検討する必要があること。そして、その検討のベースには何よりも、多様な存在を受け入れる心が求められています。

(出典:TOTO×日経デザインラボ ホッとワクワク+ )
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