ユニバーサルデザインの「今」がわかるコラムホッとワクワク+(プラス)
TOTOx日経デザインラボのコラムです。
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2016年10月15日~12月11日にTOTOギャラリー・間(東京都港区)で開催された「トラフ展 インサイド・アウト」会場にて
vol.45 インタビュー企画ジャンルのバリアを超え、新たなユニバーサルデザインを
2016年10月15日~12月11日にTOTOギャラリー・間(東京都港区)で開催された「トラフ展 インサイド・アウト」会場にて
お話を伺ったのは、若手建築家として注目を集めている、
トラフ建築設計事務所の鈴野浩一さんと禿真哉さんです。
住宅や別荘、美術館などさまざまな建築を手掛け、
プロダクトデザイン、インテリアデザインなど建築以外のジャンルにも挑戦。
いろいろなジャンルを経験しているからこそ、
多くの視点から使いやすさを考えてものづくりに取り組むことができるといいます。
今回は、これまでの数々の作品を通して、独自のユニバーサルデザインの考え方をお話しいただきました。
自由自在な作品づくりも、ユニバーサルデザイン
鈴野浩一さん(以下、鈴野)
禿真哉さん(以下、禿)
―――鈴野さんと禿さんは建築だけでなく、幅広いジャンルのデザインを手掛けていらっしゃいます。
―――そうした中で、おふたりはユニバーサルデザインをどのように考えていますか?
―――ユニバーサルデザインを盛り込むとき、どんなことを大切にしていますか?
建築家
鈴野浩一(すずの こういち)さん
1973年神奈川県生まれ。98年横浜国立大学大学院工学部建築学専攻修士課程修了。シーラカンス K&H、Kerstin Thompson Architects(豪メルボルン)勤務を経て、2004年トラフ建築設計事務所共同設立。共同主宰。
トラフ建築設計事務所
建築家
禿真哉(かむろ しんや)さん
1974年島根県生まれ。99年明治大学大学院理工学研究科建築学専攻修士課程修了。青木淳建築計画事務所勤務を経て、2004年トラフ建築設計事務所共同設立。共同主宰。
トラフ建築設計事務所
―――なるほど。
―――障がいへの配慮と、かっこいいデザインを融合させたい、と。
ユニークな発想と使いやすさを両立
―――「トラフ展 インサイド・アウト」の展示にも、ユニバーサルデザインを配慮した作品はありますか。
「DōZOベンチ」は門の前などに置くイメージ。ここに人が自由に座り、室内にいる人や近所の人たちと会話がはずんで“まち”へとつながる(写真:小川真輝)
人が座った様子。お年寄りはもちろん子どもも座れる高さ。座面の端は座りやすいように斜めにカットしてある。座面の穴は杖を刺すほか花などを飾ることも(写真:尾鷲陽介)
「港北の住宅」の模型。筒形の屋根が組み合わされたユニークな外観
実際の室内の様子。屋根や壁の形状を活かして、室内を緩やかに仕切っている(写真:阿野太一)
―――住宅はどうでしょう? 「港北の住宅」はとてもユニークな形状ですが、70代のご夫婦が依頼されたとか。
―――六本木にある「スヌーピーミュージアム」(©Peanuts Worldwide LLC)も手掛けたそうですね。子どもからお年寄りまで、幅広いファンが訪れると聞きました。
―――最後に、今後、ユニバーサルデザインはどういう方向に進化すべきか、考えをお聞かせください。
―――本日はさまざまな視点からユニバーサルデザインについて触れていただき、ありがとうございました。
「スヌーピーミュージアム」の外観。エントランスに向かう緩やかなスロープに沿ってスヌーピーの像が並ぶ(写真:阿野太一)
スヌーピーミュージアムの館内。大型のボックス状の什器の位置などを変え、自由に展示をアレンジする(写真:阿野太一)
セラトレーディング 東京ショールームを利用した「トラフ展 インサイド・アウト」の展示。ふたりの作品、「空気の器」を天井から無数に吊り下げ浮遊感を表現
編集後記建築家というひとつの肩書きに収まらない、トラフの鈴野さんと禿さん。お話を伺って、建築やプロダクトデザインなどの異なるジャンルを飛び越えて、というよりも、その間を自由に行き来しながら発想を膨らませているように感じました。そのようにして、ものづくりのプロセスや、ユニバーサルデザインのあるべき姿もどんどん刷新していくのではないでしょうか。「かっこいいユニバーサルデザイン」「自然に人に寄り添うユニバーサルデザイン」という発想は、これから当コラムでもテーマとして追いかけてみたいと思います。日経デザイン 介川 亜紀
写真/大木大輔(特記以外) 構成・文/介川亜紀 監修/日経デザイン 2017年2月20日掲載
※『ホッとワクワク+(プラス)』の記事内容は、掲載時点での情報です。