ユニバーサルデザインの「今」がわかるコラムホッとワクワク+(プラス)
TOTOx日経デザインラボのコラムです。
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第42回 国際福祉機器展H.C.R.2015のTOTOブースの様子
vol.35 インタビュー企画TOTOの優しさをつくる人たち-第9回 企画者 橋田光明さん
第42回 国際福祉機器展H.C.R.2015のTOTOブースの様子
10月7日から9日まで、東京ビッグサイト(東京都江東区)で近年、ますます注目を浴びている
国際福祉機器展 H.C.R.が開催されます。TOTOの展示会場は東5ホール。
白を基調とした清潔感および開放感あふれるブースで、高齢者施設・住宅を対象にした
商品を厳選して展示します。展示の企画を担当しているのは、メディア推進部主幹の橋田光明氏。
歴任した商品企画や開発、情報を発信するメディアなどの部署で培った豊かな知識や
一級建築士ならではの視点で魅力あるTOTOの展示ブースを構成しています。
車いすに乗ったままでも見渡せるレイアウトに
―――橋田さんのプランニングはとても独創的とお聞きしました。
TOTOは国際福祉機器展に20年以上連続して出展しています。今回も250㎡を超えるスペースを活かし、「トイレリフト」など今年度の新商品をメインに、「介護ユニットバス」、「ベッドサイド水洗トイレ」といった福祉機器、手すり類を展示。今後発売する予定の参考出品等も特別展示いたします。私が企画しているTOTOブースのいちばんの特徴は、開放的な空間になっていること。壁が必要なユニットバスなどのシステム商品は奥に配置。仕切りの高さは視線を遮らないように950ミリにとどめ、車いす使用者のお客さまでもブース全体をすっきり見渡せるようにしました。中央には幅4メートルの通路を確保し、スロープや段差も最小限にして安全性を配慮しています。ブースは弊社と同様に介護や福祉向けの商品に力を入れているLIXIL様、パナソニック様といった住設メーカーと隣り合っていたことから、一層多くのお客様に注目を浴びています。
TOTOの展示ブースの企画が始まったのは今年の5月から。2週間に一度の企画会議と社内協議を進め、9月中旬には仮組みを行って、準備を進めてきました。
メディア推進部 企画主幹 橋田光明さん九州大学大学院工学研究科熱エネルギーシステム工学専攻を1987年に卒業。入社後、浴槽開発課に配属される。その後は気泡発生浴槽・洗面化粧台・水栓金具等の企画開発に携わる。2010年より広告宣伝、展示会、Web等の企画を担当。2015年4月成田国際空港の「GALLERY TOTO」のプロデュースで注目される。一級建築士。
橋田氏がプロデュースした成田国際空港の新機軸のトイレ空間
「GALLERY TOTO」特設サイト
H.C.R.のTOTOブースは福祉関連製品を扱う大手メーカーと軒を連ねる
クリーンマンショーで楽しく学ぶ
―――TOTOのイベントはいつも盛り上がっていますね。
今年の目玉はダブルステージによる演出。その一つめ、TOTO独自のキャラクター「クリーンマン」ショーでは、「ネオレスト」の「きれい除菌水」機能について、クリーンマンとバイキンガーの掛け合いでご紹介。また、ネオレストに組み合わせる跳ね上げ式の「アームレスト」については、そのスタイリッシュなデザイン、誰にでも使いやすいサポート性の高さをアピール。ブースには3カ所にネオレストとアームレストを一緒に展示し、実際に試していただくようにしました。ショーの間には、ご来場の皆様がTOTOのフラッグを振ってクリーンマンを応援してくださり、大いに盛り上がっています。
上、右/「トイレのキレイ洗士クリーンマン」がバイキンガーと戦いつつ、ネオレストの魅力を訴求するショー
使用感が試せる参加型クイズ
―――もう〇×クイズは、TOTOブースの伝統になっていますね。
その通りです。もはやTOTO名物といってもいい、恒例の「○×クイズ」。注目度の高いベッドサイド水洗トイレ、トイレリフト、「車いす対応洗面」などについてのクイズを通して、楽しく商品の機能性の高さなどの特徴をお伝えしています。車いす対応洗面・昇降タイプについては実際にお客様に座っていただき、使用感を試してもらうシーンも。ステージのまわりを囲むたくさんのお客様が、笑顔で「○」「×」の札を上げて歓声を挙げる様子が印象的です。
○×クイズの様子。MCが出題するクイズに、来場者が○×のプレートで回答する
介護を助ける商品を実演で説明
―――実演のプレゼンはとてもわかりやすく、好評です。
実演のコーナーでは、MC(司会者)とコンパニオンが「パブリックコンパクト便器掃除口付きタイプ」や介護ユニットバス、車いす対応洗面のコーナータイプなどについて、じっくり説明しています。ふたりの掛け合いと体を張った熱演に、観覧のお客様は真剣な面持ち。ここで紹介された介護施設向けの商品を実際に使うことになるような介護職の方も多かったのかもしれません。うなずきながら説明に聞き入っている方もお見受けします。
介護ユニットバスを実演つきで説明中。右の黒いスーツの女性は手話での説明を担当
お客様の声を次の開発に生かす
―――さまざまな部署の方が説明員をされているようですね。
ブースでは、営業の担当者のほか、事業部から開発・企画に携わった社員も接客を行っています。お客様と直接お話しする絶好のチャンスということで、皆、張り切っていました。「お客様の生の声をお聞きして、次の商品開発につなげたい」「自分の関わっている商品の魅力をぜひお客様に伝えたい」。そんな気持ちがそれぞれの表情に現れています。お客様の目線に合わせ、気持ちに寄り添ってお話することで、社員のモチベーションが高まったように思いますし、いつも真剣にそして笑顔で接する社員を、誇りに感じています。
好評を博す商品の数々
排水管のスペースが必要なシステム商品は奥に配置。250ミリの段差は、傾斜20分の1の緩やかなスロープと高さ125ミリの
2段のステップで、安全でスムーズに出入りできるようにした。車いす使用者でもゆっくり見て回れる
―――今後のTOTO展示の方向性についてお聞かせください。
やはり今後もお客様目線でつくり込むということが第一だと思います。今回の展示で用いた手法のTOTOらしい清潔感と開放感はそのままにさらに進化する、イベントなどでわかりやすい展示をめざしていくべきだと考えます。
―――今日は貴重なお話をありがとうございました。
ブースの運営に関わったTOTO社員、実演やショーなどで熱演したMC、役者、コンパニオンが全員集合。この3日間にブースに立ち寄っていただく1万人以上のお客様に商品のよさを伝えている
編集後記登場いただいた橋田氏はこれまで、多くの商品企画に携わるとともに、こうしたイベントのプロデュースにも関わっていらっしゃいました。そこで、今回はH.C.R.のTOTOブースと商品の魅力をご説明いただくことに。清潔感あふれる空間で、商品そのものとモニター20台での映像、MCのレクチャーが混然一体となり、商品の魅力や使い勝手を実感できる展示です。また、会期中は橋田氏と同様に商品に詳しいスタッフが待機しています。遠慮せず商品やユニバーサルデザインについて、どんどん聞いてみてください。日経デザイン編集者 介川 亜紀
写真/大木大輔(特記以外) 取材・文/渡辺圭彦 構成・文/介川亜紀 監修/日経デザイン 2015年10月7日掲載
※『ホッとワクワク+(プラス)』の記事内容は、掲載時点での情報です。