ホッとワクワク+(プラス)

ユニバーサルデザインの「今」がわかるコラムホッとワクワク+(プラス)

TOTOx日経デザインラボのコラムです。

ホッとワクワク+(プラス)

Vol.2Vol.2
インタビュー企画 TOTOのユニバーサルデザインを探る その2インタビュー企画TOTOのユニバーサルデザインを探るその2

展示商品の前で

UD styleのコラム、「ホッとワクワク+(プラス)」vol.02は、引き続き日経デザインの下川編集長による、TOTOテクニカルセンター次長の前橋信之さん、デザインセンターの緒方里奈さんへのインタビュー。高齢社会を背景に、老後を見据えたリモデルに際し、ユニバーサルデザインを内包した製品を使うメリットを考えていきます。

身体が元気なうちに、老後も暮らしやすい住まいをつくる

身体が元気なうちに、老後も暮らしやすい住まいをつくる

下川:
人生においてライフスタイルが変わるとき、住まいを新築したり、リモデルする方が少なくありません。その際、UDを配慮した製品を選ぶとどういったメリットがありますか?
前橋:
前回もお話しした通り、長く快適に使える点が大きいですね。さらに、デザイナーの緒方さんを含め私たちが新たに挑戦しているのが、+αの魅力を出していくこと。その魅力が求められる時代に移り変わってきたんですね。
下川:
具体的に、どういったタイミングでリモデルに踏み切る方が多いでしょうか?
前橋:
定年後間もなくお子さんが独立して、夫婦ふたりになりライフスタイルが変わる際に、リモデルするのが典型的なパターンと言われていました。ここ数年は、その時期が少々後ろにずれている傾向があります。
下川:
考えられる理由は?
前橋:
アクティブシニアという言葉が流行するくらい、元気なんですね。60歳の定年後間もなくは、家に留まるよりも、趣味や新たな仕事を自宅外で楽しむ方が多く、落ち着くのは65歳ごろと言われています。平均寿命から想定すると、それからの人生は、男性は15年程、女性は20年程もありますね。その時期に向けたより使いやすい製品の研究・開発は、大きな命題のひとつです。TOTO製品はすでに基本的な部分では求められる機能を備えていると思いますが、リモデルは空間とのからみが大きく、個々のトイレ周辺に十分なスペースがあるかどうか私たちには把握しにくい。
機能部を触りながら

緒方さんご自身がデザインした「ネオレスト」の清掃性の高さについて説明している様子。パーツの間になるべく隙間をなくし、汚れの入り込みを防ぐ。掃除がおっくうになる高齢者に求められるUDの要素

緒方:
住空間全体を考えるときには、今までユーザーが貯めていた想いやアイデアが出てくるケースが少なからずありますね。家の雰囲気をナチュラルにしたいとか、トイレを安心・安全でおしゃれにしたいという希望に沿うためには、空間にUD的な部分と意匠的な要素を融合させるに留まらず、私たちが製品に提案した要素を連動させていくと効果的なリモデルができそうです。
前橋:
弊社の製品は新築、リモデルを問わず、設計を邪魔せずに幅広い提案ができるものを目指しています。その時々の最新の機器を取り入れつつ、居住空間はある程度自由に変更できるでしょう。老後の介助を見据えた、扉を便器の横に配置したり、開口部を広くとったり、寝室と隣接させたりするプランも考えられますね。使いやすいうえに、たとえば、ホテルのようなおしゃれな水まわりに変身させることも可能。UD製品+リモデルは、愛着のある家に住み続けながら、生活を一層快適にする可能性を秘めていますよね。
下川:
近頃の多岐にわたる老後のライフスタイルにも、対応できるでしょう。
前橋:
バブル経済を経験した世代なので、それぞれが多種多様な価値観を持っている。かつ行動力もあるので、ライフスタイルが多岐にわたるのはうなずけます。
ネオレスト 展示品

トイレと洗面を一体化した「2 in 1」と呼ばれるサニタリーに、ネオレストが設置されたコーナー。洗面とトイレは腰ほどの高さの立ち上がり壁で仕切られ、トイレ付近に開放感と将来的な介護のためのスペースが生まれる
ネオレスト(商品詳細ページへリンクします)

下川:
居住中の住まいをリモデルするなら、何歳までに実践すると理想的でしょうか?
前橋:
特に、都市部では高齢者が急激に増えていきますね。子供が一緒に暮らす可能性が低く、夫婦のみという世帯が増加します。昔の家族のように、子供が近くにいて世話をするとも限りません。身体能力が落ち始める年齢でもある65歳頃までに、子供に頼らず、老後の暮らし方を検討し準備するべきでしょう。そこで、夫婦やおひとりで住まいとどう向き合うのか、具体的に言えば、高齢者向け住宅に住み変えるのか、できる範囲まで自宅で踏ん張るのか、しっかりと考える。そろそろ、65歳をめどにあらためて住まいを考える、という風潮をつくったほうがよさそうです。
下川:
心身とも余裕があるうちに、老化を見越した住まいを得る、と。
前橋:
体調に大きな変化が起こったときは、ご本人の気力はないに等しく、希望を汲み取れないケースも多いと聞きます。介護保険で認められる改修は切羽詰まったときのための内容で、最低限の範囲なんですね。周囲が慌ててこれを目安に改修すると、本当に望む生活は実現しにくいかもしれません。
緒方:
夢を実現した方々は、ヒアリングしたリモデル経験者に多くいらっしゃいますね。「お友達に必ず見ていただく、自慢のトイレなのよ!使いやすくなって嬉しいわ」という話をお聞きしたことがあります。ちょうどご主人が定年前後あたりの女性が多いですね。
前橋:
UDとは何か?答えは人それぞれですが日々の生活に前向きになれる、というのが共通のゴールだろう、という気がします。 日本では今年、団塊の世代が65歳を迎えます。その世代の皆さんには、これから十数年以上変わらず毎日を楽しむために、早めに住まいとの付き合い方を考えていただきたい。また、私たちはメーカーとして、そこから発せられる希望に応えていきたいと思います。
下川:
前橋さん、緒方さん、貴重なお話をありがとうございました。
インタビューの様子

ご自身のデザインしたシャワーヘッドのボタンで手元止水できる「クリックシャワー」が、介護を要する祖母の入浴に役立った、という経験を語る緒方さん。家族を思い浮かべながらアイデアを練ることも多いという


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写真/山田愼二 構成・文/介川亜紀 監修/日経デザイン 2012年5月25日掲載
※『ホッとワクワク+(プラス)』の記事内容は、掲載時点での情報です。

次回予告
vol.03では最新のUDとサービスを取り入れたシニア向け住宅をご紹介します。
2012年6月下旬公開予定。

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