「清潔」を追求した浮かぶ球体

七号通り公園トイレ/佐藤カズー

2021.10.25

ボイスコマンド(声の指示)によってドアの開閉やウォシュレット、手洗いなど、すべての操作が可能で、入室から退室まで一切どこにも手を触れなくてよいという清潔さを追求したのが最大の特徴。地表から浮かび上がったように見える球体の形状は、建物の足元から給気された空気がドーム状の壁を伝って循環し、効率のよい換気を実現しつつ、臭気を下部へと導くことにも貢献する。清潔な美しい白い球体は、地域のランドマークにもなっている。

交差点脇に舞い降りた美しい球体

敷地は交差点にある公園のなか。北側の道路からはきれいな白い球体が浮かんでいるように見える。外部塗装には太陽光で汚れを分解する光触媒塗料を採用。分解された汚れは雨で洗い流され、美しさが持続するようになっている。入り口は人通りの多い大通りとは反対の南側に配されている。夕方になると足元照明によって、より球体が地上に浮かんでいるように見える。薄暮のなかで美しい球体のフォルムが際立つ。

防犯性や使いやすさに配慮した配置計画

トイレには交差点付近の公園入り口からアプローチ。案内板も入り口に設置されている。人目の多い道路と反対側にトイレ入り口を配置し、また防犯性に配慮して建物を一周できる、行き止まりのない動線計画となっている。複合遊具のある公園スペースとトイレは20m以上離れているので、公園に人が多くいるときでもトイレは気兼ねなく使える。

清潔さとともに室内換気の充実も特長

小便器以外の機能を、だれでもトイレの個室に集約。個室内部の広さを確保して、車いす使用者をはじめとした多様な人が使いやすい環境をつくり出している。だれでもトイレも小便器を設置した男性トイレも、給気された空気が球体の内部曲面に添って流れ、臭気を顔の高さより下の足元で排気する。だれでもトイレでは、使用後、高速換気に切り替わり、1分間で室内の空気が一新される工夫も施されている。男性トイレでは、清掃性、節水性に優れたマイクロ波センサー壁掛小便器を採用。

ボイスコマンドとマニュアルモード

このトイレの最大の特徴である、ボイスコマンド(声の指示)。扉の開閉からウォシュレット、便器洗浄、手洗いまで、すべてハンズフリー(非接触)でも行える。入室から退室まで、どこにも触れることがない清潔なトイレを目指している。

TOTOは、関連事業者様と協業し、設置機器・レイアウトの提案および製品納入面で対応させていただきました。当現場はユーザーインターフェイスがボイスコマンドだけに依存しないように、トイレにリモコンを併設するなど、万が一のトラブルの場合でも、すべての利用者の器具操作に支障が起きにくい配慮をしております。

※ボイスコマンド(音声)で動作するシステムに関するお問い合わせは、こちら→株式会社Birdman
https://birdman.tokyo/

水まわりの詳細(器具・図面)については こちら をご覧ください。

佐藤カズー

1973年生まれ。(株)Sony Music Entertainmentを経て2010年9月よりTBWA博報堂入社。メディアの枠を超えた作品で国内外の受賞多数。2012年カンヌフィルム部門審査員、2017年カンヌプロダクトデザイン部門審査員をはじめ、デザイン、デジタル、プロモーションといった多領域に渡る国際賞の審査員をつとめる。

2011年 JAAAクリエイター・オブ・ザ・イヤー・メダリスト
2013年Campaign誌 Japan/Korea Creative of the Year
2019年 PEN クリエイターオブイヤー受賞

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