JR原宿駅と東京メトロ北参道駅の中間地点、明治通り沿いに位置する神宮前公衆トイレ。商業施設、オフィスビル、学校が多く、住宅街も近いことから、幅広い層の利用者が多い。コンセプトは「温故知新」。高いビルが建ち並ぶ、日々変わりゆく街並みとは対象的に、原宿の片隅にひっそりと建つ、白い柵のある古き良き一軒家をイメージしている。家型という親しみやすい建物にすることにより、公衆トイレとしての入りやすさと使いやすさを第一に考慮し計画している。

懐かしくも、新しくも感じるデザイン

アメリカの住宅のような外観が目を引き、周囲から際立つ。周囲の土地柄、様々な世代の利用者にとって、懐かしくも感じ、また新しくも感じられるようなデザインとしている。長方形の敷地で通りに面していることから、利用者がお互い気にならないよう動線に配慮し、トイレの配置やスペースを有効に使うことを考えた。夜間には優しい光が建物の軒下から外観を照らす。建物のそれぞれの入口のドアは、常に開いた状態にフィックスされており、室内からの光が窓と入口からあふれる。建物の入口からトイレが使用中であるかも分かるようになっている。

ディペンデント・ハウスのようなインテリア

男性・女性トイレの入口は内開きのドアに、それぞれのトイレ入口のドア枠と窓枠はペパーミントグリーンで統一されている。だれでもトイレの建物の入口とトイレ入口の壁は、タイルを使用。内装は白を基調とし、あえて天井を設けず、屋根の小屋組みをそのまま利用することで、開放感を感じれるようにつくられている。男性・女性トイレにはシーリングファンを設置。すべてのトイレにはフィックス窓を設け、照明器具は5000Kを採用しており、トイレの利用者はもちろん清掃する人たちも気持ちよく過ごせるような空間となっている。

明るく清潔感のある空間

白を基調とした内装で、明るく清潔感のある空間を演出。だれでもトイレは車いす使用者、オストメイト、乳幼児連れなどさまざまな利用者に配慮し、コンパクトオストメイトパック、ベビーシートを完備。男性トイレの小便器は、マイクロ波センサー式壁掛小便器を設置している。男性・女性トイレとも大便器には、床面の清掃性のよい壁掛式大便器を選定。洗面用水栓金具は、衛生面を考慮し自動水栓を採用している。また、乳幼児連れに配慮してベビーチェアも設置。各トイレの入口に掲示されたピクトグラムは、THE TOKYO TOILETプロジェクト共通のもの。建物の北参道側にあるトイレ案内板には、トイレ内部の設備がわかる配置図が掲示されている。

水まわりの詳細（器具・図面）については こちら をご覧ください。