利用したくなる、明るく開放的なトイレ

西原一丁目公園トイレ/坂倉竹之助

2020.12.17

京王線幡ヶ谷駅から初台側へ徒歩約3分に位置する西原一丁目公園トイレは、周囲が住宅地で子どもや家族連れの利用が多く、近隣住民の歩道としての役割も兼ねている。従前の薄暗くて近寄りがたい印象や利用が少ない実態を改善するため、公園トイレを含め公園全体のイメージの向上を図り、明るく開放的で、「利用したいと思う」トイレを創出。敷地の地下に京王線が通っていることから、トイレ施設として建物重量を考慮し軽量化を図り、外壁にはガラスを使用している。

公園を明るく照らし出す「行燈」

建物の外壁は、太陽の光によってはガラスにも白い壁にも見える。昼間は内部の狭さを感じさせない明るさと開放感を生み出し、建物と各ドアの緑色が周囲の植栽に溶け込む。夜になると曇りガラスにプリントされた樹木のシルエットが、室内光により外観に映し出され、美しく闇に映え、昼間とは異なる印象を与える。外壁全体が照明となり、「行燈」として建物自体が公園を明るく照らし出し、夜の公園を歩道として利用する人々にも安心感をもたらす。

自然の中にいるような公共空間

2つの男女共用トイレと、車いす使用者やオストメイトなどさまざまな利用者に配慮しただれでもトイレで構成されている。ブース内はホワイトカラーで統一。昼間、壁面に配したガラスに日差しが差し込むと、内部に周囲の植栽の影が映り込み、曇りガラスの木々の模様が浮かび上がる。明るく緩やかな光を取り込む各ブースは、都市にいながらも、自然の中にいるような居心地のよい、誰もが気軽に訪れる公共空間になっている。

男女兼用のユニバーサル仕様

だれでもトイレを中心に、左右に男女共用ブースを配置。すべて男女兼用のユニバーサル仕様とし、「性別、年齢、障がいを問わず、だれもが快適に使用できるトイレ」というTHE TOKYO TOILETプロジェクトのコンセプトに基づいている。男女共用トイレの塗装壁一面に、洗面器や小便器、大便器を寄せて配置。2辺がガラス壁なので、両端の男女共用トイレの器具の配置が対称となり、便器と手すりの関係も左右勝手となっている。各ドアの大きめのピクトグラムは、THE TOKYO TOILETプロジェクト共通のもの。トイレの設備が分かるようトイレ案内板に、配置図を掲示している。

水まわりの詳細(器具・図面)については こちら をご覧ください。

坂倉 竹之助

1946年東京都生まれ。父親は坂倉準三。1970年、日本大学理工学部建築学科を卒業後、坂倉準三が設立した坂倉建築研究所に入所。1979年、坂倉インターナショナル設立、1998年に坂倉アトリエに改称。現在、坂倉建築研究所代表取締役会長を務める。主な作品に「ギャラリー・サカ」、「東京ミッドタウン」の住居棟、分譲型別荘「追分倶楽部」など。

この記事は役に立ちましたか?

※ひとつだけ選択してください。

内容についてのご感想、また今後取り上げてほしいテーマ、ジャンルがありましたら、ご記入ください。

あなたの業種は何ですか?

※ひとつだけ選択してください

RECOMMENDED

Share

CLOSE