考えよう!
みんなのパブリックトイレ

“待てる工夫” 
アイキャッチとなるアート

はぐれてしまわないように…興味のおもむくままに行動しがちな発達障がいの
特性を持つお子様の保護者はいつも不安を抱えています。
ほんの少し、落ち着いて待ってもらえる工夫が求められています。

関連するコラムを読む

アイキャッチとなるアート考案にあたり“待てる工夫“を取り入れることで、
よりトイレを利用しやすく

ユニバーサルデザイン
・コンサルタント
橋口亜希子氏

発達障がいのお子さんの中には、落ち着いて待つことが苦手で、保護者がトイレをしているときにカギを開けて出ていってしまったりする子もいます。はぐれてしまうことは事件や事故に巻き込まれることにもつながりかねず、命にも関わることです。そういった心配から、保護者の中には外出先では朝から夕方まで自分のトイレを我慢し、健康を害してしまう人もいるほどです。そのような困りごとに寄り添う工夫の一つとして、“待てる工夫”として“アイキャッチとなるアート”があると嬉しいと常々思っています。「勝手に出て行かないで!」と怒るのではなく、お子さんの興味が向き自然と待っていられるような工夫です。工夫はささやかですが、「安心して入れるトイレがある」ということは発達障がいのお子さんとその保護者の世界を広げてくれる画期的なことです。“待てる工夫”など細やかな心遣いが感じられる利用しやすいトイレが世の中に普及してくれることを願っています。

“待てる工夫”とは?

TOTOは、専門家やデザイナーの方と意見交換を行ない、
お子様に興味を向けてもらえるよう、
さまざまな仕掛けを盛り込んだ
アイキャッチとなるアートの例を制作しました。

アイキャッチとなる
アートのアイデア

発達障がいのある人の特性や好きなことから、どのようなイラストやグラフィックであれば、興味を持ってもらえるか、楽しんでもらえるか、また一方で切りよく遊び終えれるか、さまざまなアイデアを専門家とともに出し合いました。

好きなもの・
特性から発想

  • 視覚優位
  • 数字が
    好き
  • 体を動かすと落ち着く
  • 興味ある事を記憶するのが得意
  • 路線図や
    駅名等
    マニアックな
    知識がある
  • 円周率などを
    覚えている
  • 規則性が
    あると
    安心する
  • 階段や迷路を
    なぞるのが
    好き
  • 終わりが
    あると
    安心する
  • 連想や
    空想ができる

遊び方・活用
シーンから発想

  • 数えるのは
    15個以下が
    よい
  • 幼児から
    高い年齢まで
    楽しめる
  • 色探しは
    低年齢でも
    できる
  • (色が区別しづらい人のために)
    色だけでは
    ない違い
  • 細かく
    見比べないと
    分からない
    違い
  • さまざまな
    楽しみ方が
    できる
  • 仕掛けを
    組み合わせる
  • 終わり方が
    示しやすい
  • 人により
    興味が異なる
  • ミッションを与える

場所から発想

  • 内装デザインと調和する
  • 建物や場所と
    関連がある
  • 多様な種類がある
  • オリジナ
    リティが
    ある

アイキャッチとなる
アートの仕掛け

多くのアイデアや考え方からアートに組み込む仕掛けを整理しています。仕掛けを含むようにアートを検討することで、興味を持ち、楽しんでいただけるものになると考えます。

  • 数える

    • ex.

      数字を10まで数える

    • ex.

      描かれてる動物や図形を数える

    • ex.

      並んでいる数字を順に数える

  • 探す

    • ex.

      細かい違いを探す

    • ex.

      間違い探しをする

    • ex.

      アライグマとハクビシンの
      細かい違いを見比べる

  • 動く

    • ex.

      指で辿る・なぞる、指を差す

    • ex.

      指を人に見立ててごっこ遊びをする

  • ストーリー性

    • ex.

      アリが巣に帰る・人がゴールするなどストーリーがある

    • ex.

      色が濃くなる、サイズが大きくなるなど規則性がある

  • 連想・空想する

    • ex.

      他の形に見立てる、連想する

    • ex.

      イラストの続きを空想する

    • ex.

      小さな魚群のイラスト全体を
      見ると大きな魚に見える

  • マニアック

    • ex.

      パンタグラフの種類や駅名などマニアックな知識を盛り込む

    • ex.

      円周率など詳しい知識がいることを盛り込む

アイキャッチとなる
アート例

仕掛けを多く含むもの、楽しみ方の自由度が高いもの、幅広い年齢で楽しめるものなどを考慮した、アイキャッチとしてのアートを4例、紹介します。

アートA:丸い1~10

数字がランダムに描かれており、次の数字を目で辿ったり指差したりしながら、10まで数えてもらうデザインです。数字が大きくなるにつれて円は小さく、色は薄くなっていきます。9と10の違いはよく見比べないと分からないくらいのわずかな差にしています。

楽しみ方

1~10まで探して数えてみよう。大きさが小さく(色が薄く)なっていくことに気づくかな。
だんだん声を小さくして読んでみよう。など

アートB:円周率

円周率の数値を並べています。並びに気づかなくても数字探しをしたり指で辿ったりして楽しむことができます。緑の点線から電車の路線図を連想したり、黒い点の並びをアリの行列に見立てたり、イメージを膨らませてもらえるようデザインしています。

楽しみ方

数字の並びは何だろう?円周率であることに気づくかな。
丸く描かれた数字や緑の線は何に見えるかな。路線図?アリの行進?など

アートC:らせん階段

指を動かしていると落ち着く人もいるため、指を人に見立てて螺旋(らせん)階段をのぼり、点線をたどり元に戻ることを想定したデザインです。スタートやゴールはなくぐるぐる回ったり、段数や旗の数を数えて楽しめます。数字や旗があるので〇〇したら終わろう!などの声掛けのしやすさも重要なポイントです。

楽しみ方

階段を指で登りながら数字を数えてみよう。
反対周りにたどってみよう。3周したら、旗を取ったら終わりにしよう。など

アートD:いろんなハト

同じ色の鳥を指さしたり、数えたりすることを想定したデザインです。濃いピンクの鳥には目があり、色が区別しづらい人でも識別しやすくしています。よく見比べると、広げた翼の羽の形状が1羽だけ異なる鳥(オレンジ)も紛れ込ませ、間違い探しのように楽しめます。おしゃれなインテリアにも馴染むようグラフィックアートのようなデザインとなるよう配慮しています。

楽しみ方

同じ色の鳥は?ピンクの鳥は何羽だろう?
目のある鳥はいるかな?1羽だけ違う鳥さんどこだ?など

掲示する際の留意点

掲示位置について

  • ・洗浄ボタンや温水洗浄便座のリモコンの近くは避けた方が望ましい
  • ・トイレの扉のカギから視線・意識がそれるよう、カギから離れた位置が望ましい
  • ・排せつしている人への視線が外せる位置が望ましい
  • ・幼児が見やすい高さが望ましい など
    上記が望ましいですが、スペースや配置などは現場ごとに異なるため現場ごとに最適な掲示位置をご検討ください。

アートのデザインについて

当WEBサイトで紹介しているアートのデザインは一例です。現場ごとにさまざまなアートがあってよいと考えます。例えばその建物のマスコットキャラクターや周辺地域に関連するものにちなんだオリジナルのアートも考えられます。また興味を引くかどうかは個人差があるため、案としてフロアごとに異なるデザインのアートを取り入れることも考えられます。

ダウンロード

アイキャッチとなるアートのデザイン例は以下よりダウンロードしていただけます。
よろしければカッティングシートに印刷するなどしてご活用ください。

アートA:丸い1~10 アートB:円周率 アートC:らせん階段 アートD:いろんなハト
ダウンロード
データはこちら

ご注意

  • ※本データは公共施設のトイレ内でのアイキャッチとなるアートとして使用する目的において無償でご活用いただけます。
    また、同目的でのご活用にあたり本データを変更・加工していただいても問題ありません。
    その他の目的での使用、変更、加工等については、TOTOの文書による事前許諾なく実施できません。
  • ※カットラインは、ステッカーやカッティングシートをイメージして作成していますが、製作する機械やステッカー製作メーカーなど
    により条件が異なるため、確実に製作できることをお約束するものではありません。
  • ※カッティングシート、ステッカーの販売はしておりません
  • ※本データの変更・加工は承っておりません。
    本データより適宜、製作していただきますようお願い致します。
  • ※本データに関してのクレームは一切受け付けません。
    ご理解の上、データをご確認いただき、ご活用ください。
Share
  • Facebookでシェアする

CLOSE