ニュースリリース
2025年1月24日
調査・受賞・その他
TOTO株式会社(本社:福岡県北九州市、社長:清田 徳明)は、性的マイノリティの中でもトイレに困ることが多いとされるトランスジェンダー※1のパブリックトイレ※2での利用実態やニーズを把握するため、株式会社 LGBT総合研究所(所在地:東京都港区、社長:森永 貴彦)の協力を得て、「性的マイノリティのトイレ利用に関するアンケート調査」を実施しました。トランスジェンダーのセクシュアリティ別や建築用途別 (交通施設・商業施設/オフィス・職場)の分析やシスジェンダー※3との意識の違いをまとめた調査結果をお知らせします。
近年では、トランスジェンダーのみならず、異性の介助者や同伴者を伴ってトイレを利用する高齢者や発達障がい者にも男女共用トイレが求められています。TOTOは一人でも多くの方が快適に安心して利用できるパブリックトイレの提案と実現を目指してまいります。
<調査結果の概要>
外出先トイレ利用時に、トランスジェンダーが感じるストレスのトップは「トイレ内の個室が空くのを待っている時の視線」(43.0%)でした。トランスジェンダーの57.6%、シスジェンダーの43.2%は「男女共用個室トイレ」がある場合、利用することがあると思うと回答しました。中でも、MtX※4の方は外出先のトイレに対しストレスや、男女共用トイレを利用する事があると思うと回答した方の割合が高く、トランスジェンダーのセクシャリティ別による違いを把握する事ができました。また、男女共用個室トイレについて防犯面への不安を理由とする傾向が一定数あり、不安軽減については、さまざまな回答がありました。TOTOが提案している性別を問わず利用できる「男女共用個室トイレ」の普及については、トランスジェンダーの77.3%、シスジェンダーの71.6%が賛意を示す結果となりました。
※1:生まれたときに割り当てられた性別とは異なる性自認を持つ人 ※2:商業施設、交通施設、オフィス、学校など、住宅以外のあらゆる施設のトイレを、TOTOではパブリックトイレと呼んでいます ※3:生まれた時に割り当てられた性別と性自認が一致する人 ※4:生まれた時に割り当てられた性別は男性で、性自認は男性でも女性でもある、または男性でも女性でもない男性と女性の間など定型的な性自認に当てはまらない人
アンケート調査概要
名称:性的マイノリティのトイレ利用に関するアンケート調査
実施時期:2024年9月/調査方法:インターネット調査/調査対象:20歳以上/調査対象エリア:日本全国
回答数:2000名(トランスジェンダー:1000名、シスジェンダー:1000名)
トランスジェンダーは、「トイレ内の個室が空くのを待っている時の周囲の視線」(43.0%)にストレスを感じている人が最も多く、続いて「バリアフリートイレ・男女共用トイレの利用時、障がい者や高齢者、子ども連れの人と遭遇すること」(42.4%)「性別問わず利用できるトイレがバリアフリートイレしかないこと」(42.1%)「男女別トイレしかなく選択に困ること」(36.9%)の順となりました。
男女別のトイレしかないトイレにストレスを感じるトランスジェンダーは39.5%。特にMtXは53.2%と多く、男性トイレにも違和感を感じ、女性トイレにも入れないと推測される。
※5:MtF=生まれた時に割り当てられた性別は男性で、性自認は女性の人
※6:FtM=生まれた時に割り当てられた性別は女性で、性自認は男性の人
※7:FtX=生まれた時に割り当てられた性別は女性で、性自認は男性でも女性でもある、
または男性でも女性でもない男性と女性の間など定型的な性自認に当てはまらない人
トランスジェンダーは「バリアフリートイレ」や「男女共用トイレ」のニーズがあり、特にMtXは「男女共用トイレ」を利用したいが66.2%と他のセクシュアリティに比べて多い。
トランスジェンダーの中には男性トイレ/女性トイレを望む人もあり、トイレの選択に幅が持てるように準備をすることが重要。
トランスジェンダーの57.6%の人が「男女共用個室トイレ」を利用することがあると思うと回答、特にMtXが74.4%と最も多い。
Q4で、トランスジェンダーの35.9%、シスジェンダーの50.9%は「男女共用個室トイレ」を利用することがないと思うと回答し、その理由は「男性トイレ・女性トイレがあるから」で男女共用個室トイレの必要性を感じていない。また、異性と同じトイレを使いたくない、汚れや防犯を気にしている声もトランスジェンダー・シスジェンダー共通の理由としてあげられている。
防犯については、入り口付近の防犯カメラの設置や人の目に触れやすい位置にトイレがあることで不安の軽減につながるとの回答があり、交通施設・商業施設は不特定多数の人が利用するため、警備員の巡回や常駐が要望されている。
トイレの呼称は「みんなのトイレ」や「男女共用トイレ」など、利用者を限定しない平易な表現が好まれている。
トランスジェンダーの77.3%、シスジェンダーの71.6%は「男女共用個室トイレ」が公共トイレに普及することに賛意を示している。
調査協力
株式会社 LGBT 総合研究所
国内のLGBTなど性的マイノリティに関する専門シンクタンク。
多様な性のあり方で発想し、社会に新たな価値を創造することで多様性社会の実現に取り組む。
http://lgbtri.co.jp/
「性的マイノリティのトイレ利用に関するアンケート調査」の全容は、以下よりご覧いただけますhttps://jp.toto.com/ud/summary/post08/survey2024_05.pdf
<ご参考①>考えようみんなのパブリックトイレ ~男女共用トイレについて~
TOTOでは、性的マイノリティも含め一人でも多くの方が使いやすいトイレのあり方を考えるための
WEBサイト・パンフレット「考えよう みんなのパブリックトイレ ~男女共用トイレについて~」を公開・発行しています。
異性による介助が必要な方や、性的マイノリティのトランスジェンダーの中には、男性用・女性用に別れたトイレに「心理的な入りにくさ」を感じている方がいます。また、介助者と一緒に使うこともできるよう男女共用であることの多い車いす使用者トイレは、車いす使用者の方のトイレという印象が強く、利用をためらうという声もあります。パンフレットでは「男女共用個室トイレ」へのニーズ、必要な配慮の提案、事例を掲載しています。
https://jp.toto.com/ud/public/think.htm
<ご参考②>ユニバーサルデザインStory
ユニバーサルデザインを通じて、未来へ歩むヒト・モノ・コトを紹介するコラム「ユニバーサルデザインStory」を配信しています。さまざまな人に配慮した男女共用トイレの設置現場のその後をインタビューしたコラムも配信しています。
■近畿大学中央図書館
近畿大学中央図書館のトイレ改修。限られたスペースの中で思考した
オールジェンダートイレのポイントとその利用実態
https://jp.toto.com/ud/style/plus/story20.htm
■KADOKAWA所沢キャンパス
オールジェンダートイレを組み込んだ、バリエーション豊富なトイレ空間
トランスジェンダーの方々と「KADOKAWA所沢キャンパス」を巡る
https://jp.toto.com/ud/style/plus/story09.htm
■横浜高速鉄道みなとみらい線・東急電鉄東横線 横浜駅
研究を重ねた、多様な人に配慮した男女共用トイレが実現
使用者の声から見えた、その使い勝手とは?
https://jp.toto.com/ud/style/plus/story08.htm
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