入社後は、静電チャック※の新商品の工程設計を担当しました。大学でセラミックを学んだ人は希少であるだけに自信もあり、周囲からも期待されていたように思います。しかし、大学の研究レベルとは桁違いに大きいサイズ感や、大学でのやり方が通用しない状況に戸惑い、自分の力を発揮できませんでした。半年経つ頃には自信を喪失し、先輩にも相談していました。そんな時、先輩が出張で不在時に自分が担当する生産工程でトラブルが発生。初めて一人で対応することになり、青ざめました。しかし、火事場のバカ力とはよく言ったものです。経過を逐一電話やメールで先輩に確認しつつ、現場の方々の協力を得て必死に対応し、なんとか事なきを得ました。この時、一緒に危機を乗り越える経験をしたことで、現場で長く働いている方々とも親しくなったことは大きな収穫でした。その後、現場で生産されているものに積極的に触れて、「QCD(品質・コスト・納期)とは何か」「現場やお客様が求めていることは何か」を考えて吸収し、自分が力になれる部分を必死に探したことが技術者としての今の自分を支える基礎になっています。 ※静電チャック:TOTOセラミック事業部の主力製品で、半導体製造装置のキーパーツ