TOTOグループは、水まわりから環境に貢献するために、節水や省エネなどさまざまな取り組みを続けています。事業所における製造段階の省エネや再生可能エネルギーの導入などに加えて、環境性能の高い商品を創り出すことで、お客様に商品をお使いいただく段階も含めたライフサイクルを通じた環境配慮に努めています。また、きれいと快適・健康をもたらし、環境に配慮した商品を「サステナブルプロダクツ」と定義し、この商品をグローバルで普及させることにより、地球環境に配慮した、豊かで快適な社会の実現に貢献していきます。
マテリアリティの一つ「環境」においては、SDGs「6:安全な水とトイレを世界中に」などに貢献していきます。
地球には多くの水がありますが、実際に人が生活に利用できる河川や湖沼などの淡水の量は、そのうちの0.01%しかないと言われています※1。TOTOグループは、水まわり商品を提供する企業として、人々の暮らしに大きな影響を与える「水資源の枯渇」という課題に対応していく責任があると考えています。
商品使用時の水削減貢献量
2005年当時の商品を普及し続けた場合と比べた商品のライフサイクルにおける削減効果を「商品使用時水削減貢献量」として、目標管理を行っています。2024年度の実績は9.3億m3でした。節水性能が高く、かつ快適に使用できる商品を世界中に普及させていくことで、商品使用時の水削減に貢献していきます。なお、世界各国・地域の人が1人1日で使用する生活用水量は、地域により20L~500L程度と言われています※2。仮に1人が1日に使用する平均的な生活用水量を、日本と同じ262L※1とすると、2030年度の水削減貢献量の目標13億m3は約1,300万人が1年間で使用する水量と同程度となります。

大便器の節水性能の進化
トイレを快適に使用しながら確実に汚物を排出・搬送できる洗浄水量の削減を推進し、現在では、大洗浄1回当たりの水量を3.8Lに抑えた商品を提供しています。また、シャワーなどの水栓金具においても節水性能の向上を追求しています。
※1 出典:国土交通省「令和6年版 日本の水資源の現況」
※2 出典:国連食糧農業機関「AQUASTAT 2022」
気候変動が及ぼす影響を重要な事業リスクと認識しており、科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいます。TOTOの多くの商品は使用期間が約10年~20年と長く、ライフサイクルで見ると、商品使用時に排出されるCO2の量が全体の9割以上を占めており、その削減に取り組むことで、毎日の快適な生活と、環境にやさしい暮らしの両立を目指しています。事業所からのCO2排出量については、長期的な事業成長を考慮した削減計画に取り組んでおり、再生可能エネルギーの積極的な導入も進めています。
商品におけるライフサイクルアセスメントの取り組みと環境製品宣言の取得
TOTOグループでは、商品企画・設計の過程で、ライフサイクルアセスメント(LCA)に関するガイドラインなどを参考に環境影響を評価し、省エネルギー性能、節水性能の向上に取り組んでいます。近年では、カーボンニュートラルの実現に向けて、透明性の高い環境データ開示に対する期待が高まっていることを踏まえ、主要な商品を対象に、バリューチェーン全体を通じた客観性のある評価を進めてきました。この取り組みの一環として、腰掛便器、壁掛便器、混合水栓、ウォシュレット、ウォシュレット一体形便器の代表的な商品で、環境製品宣言(EPD:Environmental Product Declaration)を取得しました。EPDは、原材料調達から製造、物流、使用、廃棄、リサイクルまでの環境影響を、ISOに準拠した手法で算定し、第三者機関の検証を経たレポートです。今後も、LCAによってバリューチェーンの各段階における環境影響の把握を進め、その低減に取り組みます。
【環境製品宣言(EPD)を取得した代表的な商品】
TOTOグループの事業は、多様な側面で自然資本に依存および影響して成り立っています。
生物多様性の損失および生態系の崩壊が及ぼす影響を重要な事業リスクかつ機会として認識しています。そのために、自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、以下TNFD)の理念に賛同し、その活動を支援するTNFDフォーラムに加盟しています。

また、生物多様性保全を目指す「経団連生物多様性宣言・行動指針」に賛同し、「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」に参加しています。
水リスクへの対応
持続可能な事業活動を実現するためには、自然資本である水の適切な管理が不可欠です。そのために、TOTOグループは水に関するリスク評価を実施し、事業活動が水の利用によって引き起こす可能性のある影響や問題を把握しています。特に、生産工程では多くの水を使用するため、生産拠点の各々の地域における水ストレス状況を把握し、より効果的な対応につなげています。
・水ストレスへの対策
すべての拠点において節水型の生産設備を導入し、生産工程において節水に努め、水使用量の削減を推進。さらに、効率的な水使用のため、衛生陶器の生産工場では、生産排水を敷地内の排水処理場で再生処理し、生産工程やトイレでの洗浄水として再利用するとともに、水栓金具の生産工場では、めっき工程における排水を再生処理する「水循環システム」を導入しており、引き続き水のリサイクル利用を拡大していきます。
TOTO (Thailand) Co., Ltd. の自動逆洗式ディスクフィルター装置
また、水リスクへの対応として、拠点ごとに評価を行い、水害の影響を受けにくい地域を選定の上で、非常時を想定した設計基準に基づき、生産工場を建設。操業においては、非常用設備を設置するほか、想定訓練などを行っており、今後も継続的に対策を進めていきます。
サステナビリティ調達
「持続可能な原料調達基準」を制定し、主力商品の原材料である土石原料、および木質材料の調達を配慮すべき重要項目としています。土石原料においては、全鉱山へアンケートやヒアリングを最低3年間に1回実施しており、すべての鉱山にTOTOグループが求める基準を達成していただいています。木質材料については、商品における合法材と再生材の使用率を指標とし、実績値を確認しています。

~TOTO水環境基金が設立20周年~
未来に向けて、水資源を有効に活用しながら、地域や社会が持続的に発展していくためには、企業による事業活動とともに、市民活動の果たす役割は欠かせません。そこで、TOTOグループは2005年度に「TOTO水環境基金」を設立し、水に関わる環境活動に継続して取り組む団体への支援を続けています。今年で20周年という節目を迎えたこの取り組みでは、水源や水質の保全、生態系の保護や植林活動などに取り組む市民や団体の活動を助成するとともに、その活動に社員がボランティアとして参加しています。また、2024年には、内閣官房水循環政策本部事務局が認定する「水循環企業登録・認証制度」において、「水循環ACTIVE企業」に認証されました。
・地域に根差した継続的な活動を支援
世界には、水不足や劣悪な衛生環境により、数多くの人々が命を落としている国や地域があり、環境保全、貧困、教育、ジェンダー平等の実現などのさまざまな課題を抱えています。これらの課題解決には、一時的な水まわり器具などの物資や資金などの提供だけではなく、維持や管理のしくみを根付かせるために、継続的に現地を支援し、衛生的な生活環境の重要性を伝えていく活動が欠かせません。TOTO水環境基金は、これらの活動を行う団体を支援することで、持続的な発展を目指しています。
ミャンマーでのトイレ建設(オイスカ)
・地域の一員として、ともに課題解決に取り組む
TOTO水環境基金助成先団体の活動にグループ社員もボランティアとして参加することを奨励しています。助成期間終了後も、情報交換やボランティア参加などを通じ、助成先団体をはじめとする地域の皆様との交流は続いており、年々活動の輪が広がっています。
徳島県での海岸清掃にTOTOグループ社員も参加(環境とくしまネットワーク)




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