地球は表面の7割を海が占めており、多くの水が存在していますが、実際に私たちが生活に利用できる水は、そのうちの0.01%しかないと言われています※。私たちにとって水は大変貴重な資源です。現在、世界的な気候変動が深刻さを増しており、一方で人口の増加、世界経済の拡大により、水資源の持続可能性は世界的な課題として懸念されています。
TOTOグループは、水まわり商品を提供する企業として、人々の暮らしに大きな影響を与える「水資源の枯渇」という課題に対応していく責任があると考えています。そのため、水資源を有効に活用しながら、地域や社会が持続的に発展していくことを目指しています。事業所における製造段階の水使用量の削減や、節水商品の開発・普及によって、限りある水資源を守り、未来へつなぐことでSDGsにも貢献します。
※出典:国土交通省:「令和6年版 日本の水資源の現況」
私たちは事業を通じて、
SDGsのゴール6に貢献します
商品ライフサイクル全体で水使用量を削減
TOTOグループでは、水資源を守るため、商品ライフサイクル全体で水使用量の削減・水の保全活動に取り組んでいます。TOTOの多くの商品は使用期間が約20年と長く、ライフサイクル全体で見ると、商品使用時が水使用量全体の9割以上を占めています。その削減に積極的に取り組むことで、毎日の快適な生活と、水資源の持続可能性の両立を目指しています。また、生産工程で使用する水を再生・再利用するなど、生産拠点での水資源保全の取り組みも推進しています。
TOTOグループは、広く社会や地球環境に貢献する存在であり続けることを目指し、サステナビリティ経営に取り組んでいます。その実現にあたり、公平で公正な経営を執行・監督するための仕組みとして、コーポレート・ガバナンス体制を構築しています。
TOTOグループでは、「水資源の枯渇」を重要課題の1つとして、様々なサステナビリティ課題とともに、社長執行役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」で審議・執行するとともに、取締役会において監督しています。
また、「TOTOグループリスクマネジメント方針」を策定し、リスクマネジメントに取り組んでいます。社長執行役員のもと、「水資源の枯渇」に起因する事業に関わるリスクを「リスク管理委員会」で評価し、事業や社会に大きな影響を及ぼす恐れのあるリスクを「重大リスク」として抽出、管理し、取締役会へ報告しています。
各事業部門・事業所では、「水資源の枯渇」を含む環境に関わるリスクについて、環境マネジメントシステムのもとで管理しています。

TOTOグループでは、各生産拠点における地域ごとの水ストレスを特定し、地域社会・事業へのリスクを分析するとともに、ものづくりにおける水消費の削減を計画的に実施しています。
管理対象
対象範囲:TOTO株式会社および国内外の連結子会社48社すべて
目標
TOTOグループでは、地球環境行動方針のもと、地球環境行動計画を策定しており、現在、2026年度までの計画である第12次地球環境行動計画に基づき、ものづくりにおける水消費量削減を推進しています。
【地球環境行動方針】より抜粋
1. 節水や空気浄化に代表される環境配慮商品・サービスを開発し地球環境に与える負荷の低減に貢献します。
・商品・サービスの研究開発・設計の段階から環境アセスメントを取入れ、原材料調達、生産、物流から使用、廃棄までのすべての段階を通して環境負荷を少なくする活動を行います。(節水・空気浄化・省エネ・省資源・化学物質対応など)
2. 事業活動のあらゆるプロセスで環境負荷を低減します。
・優れた技術や資材の導入を図り、省資源、省エネルギー、廃棄物や包装材料の削減、リサイクル、オゾン層保護および地球温暖化防止など環境負荷の低減に取組みます。
・環境保全に配慮した生産技術の開発を行い、生産における環境負荷を低減します。
3. 環境マネジメントシステムを構築し、継続的改善を図ります。
・環境法令、協定等を遵守することはもとより、自主基準を設定して管理レベルを向上し、汚染の予防を行います。
地球環境行動計画
| 指標 | 範囲 | 基準年 | 2024年度 実績 | 2026年度 目標 |
| 総取水量 | 日本 海外 | - | 178万m3 | 238万m3 |
| 総取水量単位向上率 ※1 | 日本 海外 | STAGE1 平均原単位 ※2 | 29.0% | 15.0% |
※1:売上高原単位
※2:STAGE1は2021年度~2023年度
水使用量の推移
取水量
| 水源別 | 単位 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
| 地表水 | 千m3 | _ | _ | _ | _ | _ |
| 地下水 | 千m3 | 387 | 463 | 426 | 419 | 354 |
| 海水 | 千m3 | _ | _ | _ | _ | _ |
| 生産随伴水 | 千m3 | _ | _ | _ | _ | _ |
| 第三者の水※1 | 千m3 | 2,244 | 2,212 | 1,981 | 1,598 | 1,431 |
| 総取水量※2 | 千m3 | 2,631 | 2,675 | 2,407 | 2,017 | 1,785 |
| (売上高原単位) | m3/ 百万円 | 4.53 | 4.15 | 3.43 | 2.87 | 2.46 |
※1 第三者の水=地方自治体や他の公営・民間水道施設から供給された水
※2 総取水量は第三者による保証を取得しています。
水消費量
| 指標 | 単位 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
| 水消費量※ | 千m3 | 727 | 815 | 765 | 795 | 436 |
※水消費量=総取水量ー総排水量
水リサイクル量
| 指標 | 単位 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
| 水リサイクル量 | 千m3 | 1,844 | 2,163 | 2,008 | 1,737 | 1,765 |
| 水リサイクル率 | % | 41.2 | 44.7 | 45.5 | 46.3 | 49.7 |
排水量
| 排水先別 | 単位 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
| 地表水 | 千m3 | 10 | 9 | 11 | 7 | 7 |
| 地下水 | 千m3 | _ | _ | _ | _ | _ |
| 海水 | 千m3 | _ | _ | _ | _ | _ |
| 第三者の水※1 | 千m3 | 1,894 | 1,851 | 1,631 | 1,215 | 1,342 |
| 総排水量 | 千m3 | 1,904 | 1,860 | 1,642 | 1,222 | 1,349 |
| (売上高原単位) | m3/ 百万円 | 3.29 | 2.88 | 2.34 | 1.74 | 1.86 |
※1 第三者の水=地方自治体の廃水処理施設への排水
※2 地表水への排水は、2018年度からデータ取得開始
水リスクへの対応
TOTOグループでは、持続可能な事業活動を見据え、水に関するリスク評価を実施しています。洪水や水質汚染などのリスク評価も実施し、中でも水ストレス(水の需給に関するひっ迫の程度)については、事業継続への影響が高いと考え詳細状況の把握を行っています。
特に、生産工程では多くの水を使用するため、生産拠点の各々の地域における水ストレス状況を把握し、より効果的な対応につなげています。評価方法はGRI (Global Reporting Initiative)に準拠し、世界資源研究所(World Resources Institute)が開発したAqueductおよび世界自然保護基金(WWF)によるWater Risk Filterを用いて、各生産拠点の地域ごとにWater StressとWater Depletion等の評価を行い、水ストレス下にある生産拠点の地域を特定しています。
水ストレスが極めて高い(Extremely High)と評価された地域に生産拠点を有しているのは、メキシコ、中国大陸、インド、タイの4か国・5拠点です。
また、水リスクへの対応として、各拠点ごとに評価を行い、水害の影響を受けにくい地域を選定のうえで、非常時を想定した設計基準に基づき生産工場を建設。操業においては、非常用設備を設置するほか、想定訓練等を行っており、今後も継続的に対策を進めていきます。

水使用量削減の取り組み
世界規模の気候変動の影響や急激な人口増加による水需要の拡大により、水資源の不足や枯渇が様々な地域で重大化しており、事業活動で消費する水資源への影響が懸念されています。 2024年度のTOTOグループでの水使用量は減少し、売上高原単位も改善しています。 TOTOグループでは、水資源の保全や有効活用が重要であると考え、継続的な水使用量削減に向けた目標を設定しグループ全体で節水活動や再生利用水の使用拡大などの施策を戦略的に推進しています 。
全ての拠点において節水型の器具を導入し、生産工程において節水に努め、水使用量の削減を推進。さらに効率的な水使用のため、衛生陶器の生産工場では、生産排水を敷地内の排水処理場で再生処理し、生産工程やトイレでの洗浄水とし再利用しています。(本社・小倉第一工場・TOTO India Industries Pvt. Ltd.・TOTO (Thailand) Co., Ltd.・TOTO Mexico,S.A.de.C.V.)
また、水栓金具の生産工場では、めっき工程における排水を再生処理する「水循環システム」を導入しています。(TOTOアクアテクノ小倉工場 ・東陶(大連)有限公司 )
各生産拠点では、今後も引き続き水のリサイクル利用を拡大していきます。
小倉第一工場:RO水処理装置
TOTO (Thailand) Co., Ltd.:自動逆洗式ディスクフィルター装置
TOTO India Industries Pvt. Ltd.:RO水処理装置
TOTO India Industries Pvt. Ltd.:砂ろ過装置
TOTOアクアテクノ小倉工場:水循環システム
東陶(大連)有限公司:水循環システム
めっき工程・水循環システムの概要
商品の節水性能向上と普及促進による貢献
TOTOグループでは、グローバルに節水商品を展開することにより、商品使用時の水消費量を削減し、その地域の水資源を保全する取り組みを推進しています。2005年当時の商品を普及し続けた場合と比べた削減効果を「商品使用時の水削減貢献量」とし、目標を設定し、進捗状況を管理しています。節水性能の高い商品をより多くのお客様に使用いただくことで、水削減貢献量が拡大することから、節水性能の向上や節水商品の更なる普及促進などの取り組みにより、「商品使用時の水削減貢献量」の目標達成を目指しています。
2024年度には9.3億㎥を削減。WILL2030 STAGE2の目標として、2026年度には11.4億㎥の削減を目指しています。
商品使用時水削減貢献量の推移
※削減貢献量についてはこちら、主要商品の算定条件はこちらをご参照ください。
大便器の洗浄水量別 出荷率の推移(日本・海外)
トイレの節水へのとりくみ
・便器節水性能の進化
節水による環境貢献を最大化させるため、水まわりの中でも水を多く使うトイレの節水性能を進化させてきました。
日本では、1976年に水洗便器の大洗浄の水量は1回あたり13Lとそれまでの便器に比べて35%節水を図り、その後2002年に、TOTOが世界に先駆けて開発したトルネード洗浄などで継続的に節水化を進め、2009年に4.8L便器、2012年には3.8Lの超節水便器を発売しています。
海外でも同様に、2006年に日本に先がけて米国や中国大陸で4.8L便器を発売しました。その後、米国向け・中国大陸向けの3.8L節水便器や、「便器きれい機能 EWATER+」「新光触媒技術 ACTILIGHT」を搭載した3.8L洗浄のウォシュレット一体形便器「NEOREST」を米州、中国大陸、アジア・オセアニア、欧州で発売しています。
節水性能の進化(日本)
節水性能の進化(海外)
・節水便器の展開・普及
世界各国では、水不足問題への対策として、厳しい洗浄水量規制が設けられています。TOTOグループでは、それに先立って4.8L便器をグローバルスタンダードと位置付け、4.8L以下の節水便器をグローバルに普及させることで、事業活動を通して環境に貢献しています。
各国の洗浄水量の規制・規格の例(2025年4月現在) ※1
世界各国の厳しい規制・規格をクリアした節水便器を、お客様のニーズに合わせて展開しています。
節水便器展開状況(日本)
節水便器展開状況(海外)
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