TOTOグループでは、気候変動が及ぼす影響を重要な事業リスクと認識しており、カーボンニュートラルで持続可能な社会の実現に向けて、パリ協定と整合した科学的根拠に基づいた温室効果ガスの削減に取り組んでいます。TOTOの多くの商品は使用期間が約20年と長く、ライフサイクル全体で見ると、商品使用時に排出されるCO2の量が全体の9割以上を占めています。その削減に積極的に取り組むことで、毎日の快適な生活と、環境にやさしい暮らしの両立を目指しています。
事業所からのCO2排出に関しては、2050年までの気候変動の分析や2030年までの長期的な事業成長を考慮したCO2排出削減計画に取り組み、グループ全体で再生可能エネルギーの積極的な導入を進めています。

2024年度の実績
2024年度の事業所からのCO2排出量は 24.6万tとなりました。2024年度も、グローバル各拠点において、生産性の向上や省エネルギー施策の推進、再生可能エネルギーの導入拡大をすすめ、事業所からのCO2排出量は、2023年度比 0.8万t削減となりました。2050年カーボンニュートラルで持続可能な社会の実現に向け、事業拡大に伴って増加するCO2排出量以上に、再生可能エネルギーの導入を含めたCO2削減を進め、2026年度のCO2排出量22.9万t以下を目指します。
事業所からのCO2排出量の推移
[排出係数]
・電力のCO2排出係数:TOTOグループが契約に基づいて購入した電力の排出係数
・電力以外のCO2排出係数:環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル Ver. 5.0」
CO2排出量抑制の取り組み
国内、海外で一体となりCO2排出量削減活動を推進しています。
・CO2排出の少ないエネルギーへの切替
事業活動で使用する燃料をCO2排出の少ない燃料や電気への切替を進めています。
南京東陶有限公司(NANJING TOTO CO, LTD.)は、浴槽や洗面などのホーロー製品の製造工程である鋳造工程の溶解設備を、2018年よりキュポラから電気炉に変更しました。設備で消費するエネルギー源がコークスから電気に転換されたため、エネルギー効率の改善や生産時のCO2排出量削減に大きく寄与しました。また、この設備変更により、工場周辺地域の大気汚染防止の効果も期待できます。
その他、空調の電化、新設工場における食堂厨房の電化なども進めています。
2025年3月に、水を電気分解し水素を生成する「水素発生装置」を導入しました。電気分解に使用する電力を再生可能エネルギー由来の電力とすることにより、生成する水素はグリーン水素となります。衛生陶器焼成において、生成したグリーン水素を混焼し、よりCO2排出の少ない新規焼成技術の確立を目指しています。

南京東陶有限公司の溶解設備
水素発生装置の建屋(外観)
・省エネルギー設備などの導入
CO2排出削減を図るため、建屋断熱の強化(屋根断熱、壁断熱、複層ガラスの採用)、高効率な空調機や全熱交換器の採用、LED照明の採用、エネルギー監視システムの導入などを、国内・海外の工場で進めています。
TOTOファインセラミックス 中津工場 第4棟
クリーンルーム熱源集約
・再生可能エネルギーの導入
TOTOグループは、カーボンニュートラルで持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速しています。CO2排出削減には再生可能エネルギーの導入拡大は欠かすことができません。日本国内および海外の各拠点において、地域特性に応じた再生可能エネルギー由来の電力(以下、再エネ電力)を調達し、複数の拠点で再エネ電力100%を達成しています。太陽光発電設備の導入も、2023年度までに約6.0MW(DC)の規模となりました。この結果、2024年度の再エネ電力の導入量は、グローバルで約120GWhとなり、再エネ電力比率は約37%となりました。
2040年までに事業活動で使用する電力のすべてを再エネ電力にすることを目指し、国際的イニシアチブ「RE100」にも加盟しており、さらなる拡大を進めていきます。
・省エネ診断の実施
TOTOグループでは国内の製造・物流拠点を対象に社内省エネ診断を実施しています。 グループ共通の評価指標を定め、主に生産設備、施設(空調・照明・インフラ設備)のエネルギー管理状況や法令順守といったプロセス評価、および効率的な生産や活発な省エネ活動といったパフォーマンス評価について、エネルギー管理の専門スタッフが総合的に評価し、基準をクリアした拠点については「TOTOグリーンファクトリー」として認定しています。
・事務所における省エネ活動
TOTOグループでは、各事業所において、全従業員へ参加を呼びかけ、省エネ活動を推進しています。
月毎の実績管理については、全グループのエネルギー使用量を一元管理している情報収集システムのデータをもとに、各事務所の電力量を「見える化」し、フィードバックすることで各事業所・拠点ごとの省エネ活動を推進しています。
全国のショールームでは共通の活動として、照明器具のこまめなON-OFF、ロールカーテンの活用(日光の手動による遮光調整)、省エネタイプ自販機の使用、エアコンを7月まで稼動せず窓をあけて対応(一部のショールーム)などによる省エネを実践しています。



日本国内のTOTOグループ全体の空調負荷が増大する季節の取り組みとしては、環境省が推進しているイニシアチブ「COOL CHOICE」に賛同し、クールビズとウォームビズを実施し、省エネ活動に取り組んでいます。 各事業所において、全社員参加型の省エネ・CO2削減活動を推進し、省エネに対する意識の定着を図るとともに、組織的な取り組みを続けていくことで地球温暖化防止につなげてまいります。
2025年度 事業所の省エネポスター(クールビズ)
2024年度 事業所の省エネポスター(ウォームビズ)
・社用車におけるCO2排出量抑制への取り組み
社用車においても使用燃料の削減によるCO2排出量の抑制を推進しています。国内グループの社用車を対象としたTOTOオリジナルのエコドライブシステムの構築により、運転者自らが燃費実績を確認し、エコドライブ技術を向上させています。
また、車両導入基準を作成し、走行距離や頻度に応じた最適車両を導入することで、使用燃料の削減を図っています。
グリーンファクトリー化への取り組み
新しい工場については、最新・高性能の生産設備を導入して生産性向上を図っています。同時に建屋断熱の強化(屋根断熱、壁断熱、複層ガラスの採用)、生産空調の最適化や全熱交換器の採用、LED照明の採用、エネルギー監視システムの導入などを行い、CO2排出量の少ない環境配慮型の工場となっています。滋賀工場新西棟については、最新式のファイバー窯・LED照明などの高効率機器の導入や、TOTOのオンリーワン技術である環境建材「ハイドロテクトカラーコート」の外壁塗布などを実施し、「最先端の省エネ技術を導入したモデル工場プロジェクト」として、「平成25年度省エネ大賞」(主催:一般財団法人省エネルギーセンター、後援:経済産業省)の「省エネ事例部門」において、最高賞の「経済産業大臣賞」を受賞しました。TOTOグループでは、同様の省エネ型工場を日本や海外で展開しています。


2022年5月 TOTOサニテクノ小倉工場での新窯火入れ式の様子
CO2排出量の削減を目指し、輸送燃料の削減に取り組んでいます。
具体的には、積載率の向上・共同配送、鉄道や船舶輸送へのモーダルシフトなど、物流・販売パートナー様と連携し輸送の効率化に向け活動を進めています。2024年度は、2023年度からの物流パートナー様による積極的な省エネ車両導入(※1)や船舶輸送へのモーダルシフトの推進実施また、SBT1.5℃活動参画(※2)により今まで以上の高い目標を設定し、削減活動をより強化することで、2021年度比▲15.3%の削減となりました。
国内拠点原単位輸送燃料の削減率(2021年度比)

※1:2023年は経産省公表の最新省エネ車輛導入評価を加味した算出式を採用
※2:2030年に向けた温室効果ガス削減目標実現に向けた活動(2030年目標:2021年度比▲25%削減)
・製品輸送
以前からの課題(※3)であった輸送リードタイムの1日延長に関し、販売部門・生産部門・物流部門の3部門連携によるテーマ解決で、モーダルシフトが可能となり、九州エリア⇔関東エリア間の輸送の一部をトラック輸送から船舶輸送に変更しました。
※3:船舶輸送の場合、トラック便より輸送リードタイムが長くなる。

・調達物流
TOTOは1台のトラックで各サプライヤー様(部品メーカー)の集約集荷を行い、TOTO工場へ一括納品を行う「調達物流」を2014年度から実施し、トラック削減によるCO2削減を取り組んできました。現在では関東~九州までの物流インフラ網を構築しています。今後も全社最適物流を追及・実現する事で、輸送効率化を図り環境負荷低減を目指していきます。

・システムキッチン
TOTOはシステムキッチンの配送において、販売面で競合関係にあるクリナップ株式会社と、物流面において垣根を越えた「協同配送」を一部地域を除く全県にて実施しています。(本テーマは、平成27年度「グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰」において「経済産業省商務流通保安審議官表彰」を受賞しました。)今後も改善を行い、トラック車両台数の削減、積載率の向上を実現し、環境負荷低減に取り組んでいきます。

・輸送燃料の改善事例(タイ)
コンテナ積載時のパレットを樹脂パレットからシートパレットに変更し、積載効率を上げました。
【1】パレット3段積みが可能となり、積載効率が50%向上。

【2】パレットに空きスペースがあったが、シートパレットに変更することで空きスペース分を詰めることができ、積載率11%向上。

節水・省エネ性能向上と普及促進、再生材活用によるCO2削減への取り組み
TOTOグループでは、グローバルに節水・省エネ商品を展開することにより、商品使用時のCO2排出量を削減し、地球温暖化を防止する取り組みを推進しています。2005年当時の商品を普及し続けた場合と比べた削減効果を「商品使用時のCO2削減貢献量」とし、目標を設定し、進捗状況を管理しています。節水・省エネ性能の高い商品をより多くのお客様に使用いただくことで、CO2削減貢献量が拡大することから、節水・省エネ性能の向上や高性能商品の更なる普及促進などの取り組みにより、「商品使用時のCO2削減貢献量」の目標達成を目指しています。
2024年度には281万tを削減。2050年にカーボンニュートラルで持続可能な社会の実現に向けたWILL2030 STAGE2の目標として、2026年度には360万tの削減を目指しています。また、TOTOグループでは、積極的に再生プラスチックを使うことで、原材料の調達時に発生するCO2を削減しています。
商品使用時CO2削減貢献量の推移


・コンフォートウエーブシャワー
TOTO独自のノズルで大粒の水玉をスイングしながら勢いよく吐水。それにより、「節水」と「適度な刺激感」を両立しCO2削減に貢献。浴室向けシャワーの日本の出荷数のうち、「コンフォートウエーブシャワー」が占める比率は7割を超えています。
[コンフォートウエーブシャワー ]
最適流量:6.5L/分 (従来シャワーより約35%節水 ※)
※従来シャワーの品番:TM245CS
最適流量による当社比。最適流量とは、(一社)日本バルブ工業会の定める方法に基づき、社内モニターにて測定した「一番使いやすいと感じる流量」のこと。
・海外への展開
コンフォートウエーブシャワーの技術と環境性能を、海外にも展開しています。海外でのシャワー浴の文化や地域ごとの特性に応じて、さまざまなバリエーションを展開し、普及促進に取り組んでいます。
ウォシュレット®の節電への取り組み
・多彩なエコ機能
トイレを1日で使用する時間の合計はわずか約50分(4人家族の場合)。使う時だけお湯をつくる「瞬間式」、便ふたと便座の「ダブル保温」など、多彩な省エネ機能によって保温電力を抑えることで、電気を使用する際に発生するCO2削減に貢献しています。
瞬間式(湯沸かし方式)
使用するときだけお湯を作るので、連続使用でもお湯が冷たくなりません。節電にもつながり、環境にやさしいウォシュレットです。
その他のエコ機能を搭載したおすすめシリーズウォシュレット一体形便器「ネオレスト」や瞬間式ウォシュレット「アプリコット」では、使う時だけ便座を暖める「瞬間暖房便座」や便ふたと便座の2つの断熱材で放熱を抑えた「ダブル保温便座」によって、更なる省エネを実現しています。
<対応商品※>
・瞬間暖房便座:ネオレストNX・LS・AS、アプリコット(F4系)
・ダブル保温便座:ネオレストNX・LS・AS、アプリコット、ウォシュレット®SS
※国・地域によって、取扱い商品は異なります。
再生材活用のとりくみ
大便器のタンク部では、80%以上の再生プラスチックを活用しています。再生プラスチックを使うことで、バージンプラスチックと比べて原材料の調達時に発生するCO2を削減しています。
その他、ウォシュレットやシステムバス、キッチン等の部品においても、再生プラスチックの採用を拡大しています。
再生材活用事例についてはこちら(資源循環)をご参照ください。
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