特集3/座談会

「君、どう思う」

――大嶋さんはいかがですか。
大嶋 私は武蔵野美術大学を出て建設会社で現場監督や設計をしていました。30歳を過ぎて、あらためて歴史をやりたくなった。仕事としては設計を続けるつもりでしたが、設計するための核のようなものがほしかった。もうひとつ、私も保存ということに対して興味があったので、藤森先生のところで歴史をやるのがいいかなと。そのときは、藤森先生は歴史の先生なので、設計をするとは全然知らなかったんです。研究室では持ちまわりで学生と先生が発表するのですが、初めてのミーティングが藤森先生が発表する役割で、「神長官」の模型が出てきた。模型だからもう実施設計の段階だったかな。
内田 だと思います。
大嶋 私が藤森先生と研究室で交わした最初の会話が「『神長官』のここにトップライトを付けたいと思っているんだけど、内田君が反対しているんだよ。君、どう思う」。私の答えは「いやあ、先生、これは雨漏りの原因になるからやめたほうがいいですよ」「ああそうか」みたいなことでしたね。設計の仕事については、内田さんと計画を進めていらした「浜松市立秋野不矩美術館(※2)」(以下「秋野不矩」)の初期案模型を「3日でつくってくれ」と言われたのが最初です。
 その後、「ニラハウス(※3)」で私に声がかかりました。当初は改築の予定で、たまたま研究室で実務経験があるのは私しかいなかったからだと思います。一緒に現地に連れて行かれました。それが二転三転して、結局、新しく土地を買って新築するということになりました。
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