工事の山場を連日見学した以上、完成後はどうなったのかも気になるというもの。後日、完成写真を見ながら、藤森さんに後日談を聞いた。
「最後はなんとか徹夜せずにすんで、予定どおり竣工式典もできました。感想は、よくぞここまでやったという感じかな。今回は共同設計者がいなかったし、言葉や文化や天候の違いもあって、予想外に時間がかかったけどね」
それでも、巨竹を使った世界初の構築物と、モノコック構造によるコンクリート船を、ほぼ素人の手だけでつくりあげた意義は大きいと藤森さんは語る。
不安定そうな竹の茶室は実際にはほとんど揺れず、スリリングな高所好きの藤森さんには物足りないほどらしい。一方、舟の茶室もFRP製のボートのようにぐらぐらせず、シャンとしているそうだ。
式典で集まった建築団のなかには感激して涙する人も多かったというから、きっと今頃は「祭りの後」の脱力感を味わっているにちがいない。
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