特集2/ドキュメント

四月二十七日(火)

雨のち晴れ、夜満月 明日はクレーン車がやってくる

 朝方、民宿で飼う鶏の声で、2度目は屋根に叩きつけられる雨音で目が覚めた。外に出ると雨足はさほど強くなく、トタン屋根のせいかと気づく。が、朝食の頃には本降りに。今日は雨のなかの作業になることを覚悟しつつ、7時半すぎに車で出発した。
  なにしろ明日はクレーン車が来るのだから、竹の茶室の屋根が完成してスタンバイできていなければ話にならない。銅板を波板状に加工する作業スペースが雨で濡れぬよう、この日の作業はまずテント張りから。現場で使用しているアメリカ製の緑色のタープは見かけはヤワそうだが、藤森さんによれば、ヘビーデューティで優秀だそうだ。
  作業場が確保できたところで、なんともアナログな銅板曲げと張りの作業が始まった。舟の屋根に張る銅板も一片はもっと小さいが手法は同じで、すでに加工ずみの多数の銅板を見かけた。板チョコの包み紙のように折りじわがついた板をどうやって加工したのかと思っていたが、手作業で山折り谷折りを繰り返す単調な作業だ。見ていると、建築団の地道な努力に頭が下がる。
  途中でロールの銅板が足りなくなり、買い出しに行ったりして少々タイムロスしたが、屋根は着々と出来上がっていく。コーチさんも腕をふるっており、藤森さんの信頼も厚いようだ。湖から見える側の屋根を先に張ったら仕上がりが今ひとつだとコーチさんはしきりに気にしているが、「上目遣いに見るんだから全然平気だよ」と藤森さん。それも味のうちと言わんばかりだ。

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