特集2/ドキュメント

四月二十九日(木)

午前/快晴 クレーン車がやってきた!

 みなの祈りが通じたか、翌日は快晴になった。
 予定どおり夕方の飛行機にのるには、遅くとも午後3時には空港に着かねばならないが、現場に乗り入れる車は台数も限られており、あらかじめ全員の荷物を運んでおくのは難しい。相談の結果、ぎりぎりまで粘りたい藤森さん、通訳の白さん、写真の藤塚さんは午後2時に現場から空港へ直行し、それ以外の取材班は民宿で荷物を引き取る時間を考えて、午後1時半に現場を出ることに決めた。
 はやる気持ちを抑えつつ、現場へ向かう車中、「着いたらもうクレーン車が来てたりしたら、うれしいのにねえ」とつぶやく藤森さん。8時頃到着すると、范さん一族はまだらしく、入り口の門は閉まっている。車を降りて待っているあいだも、藤森さんは何やらディテールを考えているようで、しばらく藪のなかに消えたと思ったら、若い竹を3本採集して戻ってきた。何に使うつもりだろう?
 ほどなく揚存さん夫妻の車が到着し、開門。現場で唯一の携帯電話の持ち主である妻のレベッカさんとリタさんが、クレーン車の派遣を予約していた業者とすぐ交渉を始めたが、やはりまだ道がぬかるんでいるので、今日は無理だと断られたという。

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