- 大嶋 あの自然素材をまとうための仕組みは、先生じゃなくて内田さんが発明したものなんでしょ。
- 内田 発明したっていうか……。ダブルスキンの発想は、モダニストならありますから。あれは、石だから屋根が重いんです。床レベルの重さなんです。だから床材じゃないと支えられない。そうすると、いわゆる屋根用のやつではダメですから、デッキプレート。亜鉛の溶融メッキのものを探して、それを重ねました。
- 大嶋 ダブルスキンにすればいいじゃないかというのは、コロンブスの卵みたいで、あたりまえだと言われるかもしれないけれど、高層のオフィスビルとか、ダブルスキンは基本的には近代のものと近代のものを重ねる……。
- 内田 ああ、そうです。そこは違う。
- 大嶋 だから当時びっくりしました。私がやっているのはその発想の応用です。外にまとう自然素材に適した下地を、近代の工業製品のなかから探してくる。ある種のブリコラージュですが、工業製品を本来の使い方ではない使い方で使う。
- 内田 僕は自分を説得しているんですよ。ダブルスキンという論理であれば乗り越えられる、つまりやってもいいだろうと。苦渋の選択です(笑)。
- 川上 僕は違っていまして。民家をやっているものですから、どうしても構造と仕上げはそのまま表と裏の一体にしたい。モダニズムと同じ方向なんです。確かに先生は、構造は現代、仕上げは違う、ザラザラだ、とおっしゃる。じつはちょっと抵抗がありました。