特集3/座談会

表層のウラで

大嶋 今まで藤森建築について、内田さんと私が直接話したことはなくて、川上さんともないですよね。
内田 はい。
川上 ないですね。
大嶋 「焼杉ハウス」のとき、川上さんには、これまでのこと、なんでも聞いてくださいと言いましたが、実際はほとんどなかったですね。
川上 ええ、2、3回ですね。壁の下地をどうしたらいいかとか。
大嶋 そのくらいですよね。逆に言うと、藤森建築が成り立つためには、目に見えるテクスチャーの背後の構成というか、仕組みがすごく重要で、自由に自然素材をまとうためには、すごくちゃんとした下地があるんです。
  最近、パワードスーツという言い方がありますよね。パワードスーツを建物の骨組にまず着せてあげて、それが、防水、断熱、防火、そういったいわゆる近代の建築としての機能を受けもつ。その上に、ジャケットをかぶせる。ジャケットは、自然素材、ナチュラルマテリアルですね。昔の建物は、ナチュラルマテリアルのコートしかもっていなかったから、性能を確保できなかった。せっかく開発されたんだから、重ね着すればいいじゃないかというのが、藤森建築の基本だと思うんです。モダニズムでは、そういうことをやってはいけないという教条のようなものがありますけれどね。
  私がそれを自覚したのは、第1作の「神長官」の、下地のデッキプレートなんです。既製品のデッキプレートをわざと見せた上に石屋根を置く。石屋根だけだと、水を100%は止められないけれど、下をデッキプレートでやればいいと。すごくびっくりした覚えがあるんですよ。
内田 すいません(笑)。
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