特集3/座談会

大嶋 「焼杉ハウス」の茶室は塔屋扱いでしたね。「チョコレートハウス」では3階部分に茶室があったので、経験的にもっている勘を計算で裏づけるというテーマで、厳密な構造計算で確認申請を通しました。
川上 「焼杉ハウス」で楽しかったのは、この「焼杉」を焼いたときです。所員全員を連れて、ご近所の人も連れて行って田んぼでやりました。藤森という同じ名字の、すごく器用な、勘のいい方がいらっしゃるんです。その人の指導で焼きました。3枚の杉板を筒状に組んで立てて根元の新聞紙1枚に火を付けて燃やすんです。やり出したら、おもしろくてやめられない。
  ついでに先生は焼き肉の段取りをしていたんです。焼杉が終わってからの宴会用。エンターテインメントがあるんです。大嶋さんも来てくださいましたね。
内田 僕は現場でエンターテインメントはダメなんですよ。一度も参加したことがない。僕が手を出して何かつくることもしていません。見本は別ですけれどね。現場というのは聖地みたいな思いがあるんです。
川上 先生はこんな楽しいことを職人にまかせたらもったいないという考え方ですね。
内田 それはよくわかります。
川上 先生は、木を山から伐ってきて、その処理を大工さんに指導するんですよ、曲面鉋で。指導された大工さんは、ああ、これならこうやったほうがいいよと、さらにいい方法を教えてくれる。先生は、それがいい、と言うわけですよ。左官にしても、素人でもやれるんだけれど、素人のように見せてプロがやると、もっと素人っぽく、よくなるという話をしていましたね。だから、プロだけでもダメだし、素人だけでもダメだと。家ってそんなに緊張したものをつくるんじゃなくて、ヘタウマというか、下手でも情のこもったものは違うんじゃないかということは、言っていらしたような気がしますね。
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