特集3/座談会

内田 ああ、そうでしょうね。僕もストラクチャーのフェイクはできるだけ使わないというふうにはしていますが、藤森さんと仕事をしなかったら、僕はフェイクのテイストをどうするかということを考えないまま、一生、生きていったと思う。
  フェイクのない建物はないんですよね、実際は。そういう意味で表層は大事だろう、ということです。以前、僕が断面に興味があると言ったときに、先生に「地球の断面に意味があるか」みたいなことを言われた記憶がある。表層のほうが大事でしょうと。地球の断面を描くと、表層は薄すぎておそらく線にもならない。だけれども、それがすべてだと。断面派としては、ちょっとなあっていう(笑)、でもおもしろい議論をした。で、フェイク、表層を僕がやむをえずやっているという感じだったとすると、藤森さんは積極的にやっているということです。やるなら積極的に。それは正論ですよね。
大嶋 表現として、真面目に、覚悟して使えば、ちゃんと開き直れるというか、フェイクという気はしないですね。
内田 今、思い出した。「神長官」を建てたときに、僕は何人かから言われたんですよ。「歴史家の妄想で終わるべきものを……」と。
大嶋 その批評、内田さんのまわりにガチガチのモダニストが多かったからでしょう。
内田 いずれにせよ、僕としてはそれに対して言える言葉はないんです。けれど、そういう話を聞いて、ニコッとしていらっしゃるわけですよ、藤森さんは。
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