私たちのいのちや暮らしは、多様な側面で自然資本がもたらす恵みによって支えられています。将来にわたり、私たちが自然資本の恵みを享受していくためには、社会を構成する私たちが連携して自然資本を守り、持続可能な利用をしていかなければなりません。事業者も社会の一員として、重要な役割を担っています 。
TOTOグループは世界共通の環境問題を事業を通し解決すべき重要課題として位置づけ、「持続可能な社会」づくりに貢献することを目的に、「地球環境方針」を定めています。方針に沿った事業活動を行うことにより、自然資本の保全と持続可能な利用、並びに、絶滅危惧種の絶滅につながるような活動を行わないように努めています。
【地球環境方針】より抜粋
4. 生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組みます。
・経団連生物多様性宣言イニシアチブへの参加
TOTOグループは、生物多様性保全を目指す「経団連生物多様性宣言・行動指針(改定版)」に賛同し、「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」に参加しています。
TNFD提言に基づく情報開示
2026年7月、TOTOグループは自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures,以下TNFD)の理念に賛同し、TNFD Adopterに登録しました。
それに伴い、自然資本の保全の実現に向けた取り組みについて、TNFD提言に基づき情報を開示します。

一般要件
| 一般要件 | 情報開示状況 |
| マテリアリティの適用 | TNFD開示・LEAPアプローチによる分析においては、自然への依存と影響の両面を含むダブルマテリアリティを適用しています。 |
| 開示のスコープ | TOTOグループ事業のうち、事業全体の売上高の約9割を占め、自然資本への影響が高いと考えられる住設事業を評価および開示の対象としました。評価については、ENCOREツールを活用しつつ、衛生陶器の原材料調達などでは実態調査を行っています。バリューチェーンのうち、上流:調達、直接:製造、下流:物流・販売としています。 |
| 自然関連課題がある地域 | 評価対象である住設事業の生産拠点、および原材料のうち自然への依存・影響の大きな衛生陶器の水ストレス地域、土石原料鉱山を対象に優先地域の特定を行いました。 |
| 他のサステナビリティ開示との統合 | 本開示では、TNFD提言に基づく開示のみを行っております。気候変動と自然資本との整合性などを今後検証し、気候変動に関する開示との統合も検討します。 |
| 検討される対象期間 | 対象期間は以下の通りです。 短期:事業年度、中期:2030年度、長期:2050年度 |
| 組織の自然資本関連課題の特定と評価における先住民族、地域社会と影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメント | サプライチェーンのグローバル化に伴い、企業が直面するリスクは複雑さを増しており、TOTOグループは、倫理的かつ社会・環境にとって有効な行動を自社のみならず、サプライチェーン全体で高い水準で実践していくことが不可欠であると認識しています。 サプライヤーの皆様とともに、サプライチェーン全体のサステナビリティ向上とリスク最小化に努め、サプライチェーン全体での社会的課題や地球環境問題などに取り組み、持続可能な社会の実現を目指します。 |
自然資本の損失が及ぼす影響を重要な事業リスクと認識しています。代表取締役社長執行役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」を年3回開催し、自然資本を含むサステナビリティに関する議題について審議・執行するとともに、取締役会においてその状況を監督しています。

2004年に「CSR委員会」およびCSR専任部署を設置し、CSR活動を開始しました。2023年度には「サステナビリティ委員会」に体制を変更しています。サステナビリティ委員会は、社長執行役員を委員長として、年3回開催し、”環境“”社会””経営”の3分野を俯瞰することで、サステナビリティ経営に取り組んでいます。
サステナビリティ委員会では、自然資本を含むサステナビリティ課題やマテリアリティについて審議し、優先地域を含む活動計画の策定を行うとともに、各担当部会が推進計画の策定の上、関連部門、国内外のグループ会社に展開し、部門横断的な活動を行っています。
サステナビリティ委員会とは別に、年1回取締役会にて自然関連課題を含むサステナビリティ経営に関する審議を行っています。
TOTOグループでは、公正かつ自由な競争の下、社会に有用な付加価値および雇用の創出と自律的で責任ある行動を通じて、持続可能な社会の実現を牽引する役割を担う存在であり続けたいと考えています。その実現のために、TOTOグループで働くすべての人々が、社是・企業理念に基づき高い倫理観を持って活動し、社会的責任を果たしていくことを目指します。
TOTOグループで働く全ての人々の活動の基本スタンスである「TOTOグループ企業行動憲章」には、「各国、地域すべての人々の人権を尊重した事業活動を展開し、その発展に貢献する」ことを明記しており、TOTOグループ人権方針は、TOTOグループ企業行動憲章に基づき、企業として人権を尊重する責任を果たすという方針を定めたものです。
TOTOグループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「国際人権章典」や「労働における基本原則および権利に関するILO宣言」、「子どもの権利とビジネス原則」などの人権に関する国際規範を支持、尊重します。
TOTOグループでは、生物多様性に配慮した調達に取り組んでおり、人権・労働・コンプライアンスに加え、先住民を含む地域住民への影響や生産地の環境・生態系への影響を考慮した調達について、サプライチェーン全体で取り組んでいます。
また、「持続可能な原料調達基準」を制定し、主力商品の原材料である土石原料、および木質材料の調達を配慮すべき重要項目としています。土石原料においては、全鉱山へのヒアリングを最低3年間に1回実施しており、すべての鉱山にTOTOグループが求める基準を達成していただいています。木質材料については、商品における合法材と再生材の使用率を指標とし、実績値を確認しています。
土石原料におけるヒアリング結果において、持続可能な原材料調達基準に満たない場合などは、サステナビリティ委員会にて討議し、特に影響が大きいと判断された場合は、取締役会で報告します。
TOTOグループでは、「限りある水資源を守り、未来へつなぐ」、「生物多様性に配慮したサステナビリティ調達」、「環境リスクの回避」、「地域社会とともに、持続的発展を目指す」、「カーボンニュートラルに向けた取り組み」を環境におけるマテリアリティと特定しています。また、2030年をターゲットとして、TNFDの推奨手法である「LEAPアプローチ」に則り、直接操業およびバリューチェーン全体における自然資本への依存と影響の把握、リスクと機会を特定しました。
依存と影響、リスクと機会の特定にあたり、TOTO事業におけるバリューチェーンは「調達」、「製造」、「物流・販売」の3段階と定義し、評価を行いました。また、依存と影響の特定については、二次データ(ENCOREによる業界平均値)によるスクリーニングを行い、自社拠点と衛生陶器の土石原料鉱山については、現地調査を行い、実態を反映しています。
TOTOグループでは、自然資本や生物多様性と事業活動との関わりを可視化し、サステナビリティ経営につなぐ取り組みを進めています。
TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提言する「LEAPアプローチ」に基づき、自然資本への依存と影響、そこから生じるリスクと機会の評価を進めています。
TOTOグループの主要事業である衛生陶器の生産を中心に、自然資本との関係性を明らかにするため、ENCOREツールを活用してヒートマップを作成しました。
依存と影響の評価により、TOTOグループの事業において、水資源/鉱物資源への依存、GHG排出による影響が大きいことがわかりました。また、バリューチェーンでは、衛生陶器の原料となる土石原料の調達を中心に、陸域生態系へ大きな影響を与えていることがわかりました。
上記の依存/影響の大きな項目につきましては、以下のような取り組みを行っております。
TOTOグループでは、持続可能な事業活動を見据え、水に関するリスク評価を実施しています。
洪水や水質汚染などのリスク評価も実施し、中でも水ストレス(水の需給に関するひっ迫の程度)については、事業継続への影響が高いと考え詳細状況の把握を行っています。
特に、生産工程では多くの水を使用するため、生産拠点の各々の地域における水ストレスを把握し、より効果的な対応につなげています。評価方法はGRI(Global Reporting Initiative)に準拠し、世界資源研究所(World Resources Institute)が開発したAqueductおよび世界自然保護基金(WWF)によるWater Risk Filterを用いて、各生産拠点ごとにWater StressとWater Depletion等の評価を行い、水ストレス下にある生産拠点の地域を特定しています。
水資源への依存が事業全体の中でも特に高い衛生陶器生産拠点のうち、水ストレスが極めて高い(Extremely High)と評価されたメキシコ、中国大陸、インド、タイの4か国4拠点を優先地域と特定しました。
TOTOの生産拠点

TOTOグループにおける自然関連課題のリスクと機会を特定するために、TNFDガイダンスを参照し、「生態系の劣化」と「市場原理と非市場原理の一貫性」の2軸・4象限のうち、「シナリオⅠ:自然資本への取り組みが進む世界」と「シナリオⅢ:自然資本への取り組みが進まず、生態系の劣化が進む世界」を2030年の社会状況と想定し、リスクと機会が事業に及ぼす影響を試算しました。
・2030年の社会状況の想定
<シナリオⅠの社会状況>
水資源および土石原料等の持続可能な利用に向けた政策や規制が強化され、水資源管理などの環境配慮基準の高度化が進展する。企業に対しても、取水量削減や原料調達地域における環境負荷低減など、生態系への配慮が一層求められる。
また、サプライチェーン全体で水資源および鉱物資源の管理が進むことで過剰取水や無秩序な採掘は抑制され、その結果、水ストレスや水質悪化の進行、ならびに資源枯渇リスクは一定程度抑えられ、突発的な取水制限等の影響は限定的に留まると想定される。
<シナリオⅢの社会状況>
水資源および鉱物資源の保全に向けた政策や規制の強化は限定的にとどまり、取水管理や採掘に伴う環境影響への対応は十分に進まない。企業による節水や原料調達地域の取り組みも限定的であり、サプライチェーン全体での管理が不十分な状況が継続する。
その結果、水資源の過剰利用や水質悪化が進行し、水ストレスの高まりや取水制限の発生が顕在化するとともに、原料調達地域の環境劣化や資源の品質低下・調達不安定化といったリスクが増大する。これに伴い、操業への影響や原材料調達コストの上昇が生じる可能性があると想定される。

2030年時点の社会状況を想定し、TOTOグループに与えるリスクおよび機会を分析するとともに、それらへの中長期的な対応について検討しました。なお、本分析における時間軸は以下の通り定義しています。
・時間軸
- 短期:事業年度(会計期間と整合)
- 中期:2030年度まで(中・長期経営計画であるTOTO WILL2030と整合)
- 長期:2050年頃まで(脱炭素を目指す上での最終目標年となる2050年カーボンニュートラルと整合)


事業活動による依存が大きいと特定をした水資源に関しては、水資源への依存の回避を最優先とし、取水量削減への取り組みとして、水の再利用に取り組んでいます。特に水資源への依存が強い衛生陶器の生産工程における移行計画として、衛生陶器製造全拠点と水リスク拠点それぞれで2030年度までの水の再利用率の目標を50%以上、65%以上に設定し、水資源への依存とリスクの軽減に向けた取り組みを行っています。
リスクを評価するために、AqueductやENCOREなどのツールを活用し、バリューチェーンを含むTOTOグループ全体のリスクの特定を行いました。また、依存と影響については、ヒートマップを作成して管理を行っています。
リスク管理については、「TOTOグループリスクマネジメント方針」を策定し、リスクマネジメントに取り組んでいます。自然関連課題を含む事業に関わるリスクを「リスク管理委員会」で評価し、事業や社会に大きな影響を及ぼす恐れのあるリスクを「重大リスク」として抽出、管理し、取締役会へ報告しています。また、各事業部門・事業所では、環境に関わるリスクについて、環境マネジメントシステムのもとで管理しています。

(※)委員長:取締役 専務執行役員・最高財務責任者 副委員長:リスク管理統括担当部門長 委員:各部門長
抽出された重大リスクは、想定シナリオに沿って、ブランドの毀損・人的影響・金額的影響の観点から、影響度と発生頻度をマトリクスで評価し、リスク管理委員会でモニタリングを行い、全グループをあげてリスクの低減活動を推進しています。
TNFDに関連する重大リスクを含む重大リスク一覧は以下の通りです。
経営リスク | 人材獲得競争の激化 |
| 地政学リスク等による原材料等の調達障害 | |
| 市場環境の変動 | |
| 製品の欠陥 | |
| 訴訟の提起 | |
| 急激な技術革新 | |
政治・経済・社会リスク | 地政学的な紛争・治安悪化リスク |
| 気候変動 | |
| 競合他社との競争激化による急激な製品価格下落 | |
| サプライチェーンを含めたコンプライアンス違反 | |
| 感染症蔓延 | |
| 環境に関する規制 | |
| 風評被害 | |
| 知的財産権侵害 | |
| 災害リスク | 大規模災害 |
| 労働安全衛生 | |
| ITリスク | 機密情報・個人情報の漏えい |
| 情報システム障害の発生 |
WILL2030において、持続可能な社会、カーボンニュートラルの実現を2050年の目指す姿としました。
その実現のためのマイルストーンとして、2030年の目標を設定し、GHG排出については科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標であるSBTイニシアチブの認定を取得し、推進しています。GHG排出削減については、2050年カーボンニュートラル実現に向けた目標と進捗について、「TCFD提言に基づく開示」にて詳細を開示しています。
気候変動および自然関連課題に関して特定・評価したリスクおよび機会を踏まえ、当社グループではこれらの課題への対応状況を把握・管理するための指標をTNFDのグローバル中核指標に沿って情報を開示し、継続的にモニタリングしています。
測定指標番号 | 自然の変化の要因 | 指標 | 測定指標 | 2025年度実績 |
| 気候変動 | GHG排出量 | GHG排出量(Scope1~3) | 財務・非財務データ集 | |
C.2.1 | 汚染/汚染除去 | 排水排出 | 排水量 | 財務・非財務データ集 |
拠点別汚染物質濃度 | 製造事業所における法規制項目 | |||
C.2.2 | 廃棄物の発生と処理 | 廃棄物処理量 | 財務・非財務データ集 | |
C.2.4 | GHG以外の大気汚染物質総量 | タイプ別の非GHG大気汚染物質(トン) ・ばいじん ・SOx ・NOx ・VOC | 財務・非財務データ集 | |
C.3.0 | 資源使用/資源補充 | 水不足地域からの取水量と消費量 | 水不足地域からの取水量 | 水ストレス別取水量 |
A2.0 | 自然変化の要因:汚染/汚染除去 | 処理、再利用/リサイクル、または回避される排水 | 水の再利用率 | 財務・非財務データ集 |
A.2.1 | 廃棄物の最小化、再利用、リサイクル | 廃棄物のリサイクル量 | 財務・非財務データ集 | |
A2.3 | 光害と騒音公害 | 拠点別騒音規制遵守状況 | 製造事業所における法規制項目データ | |
A3.0 | 自然の変化の要因:資源の利用と補充 | 総水消費量と取水量 | 総取水量 総水消費量 | 財務・非財務データ集 |
A3.2 | 削減、再利用/リサイクルされた水 | 水の再利用率、水の再利用量 |
事業活動による依存が大きいと特定をした水資源に関しては、水資源への依存の回避を最優先とし、取水量削減への取り組みとして、水の再利用に取り組んでいます。特に水資源への依存が強い衛生陶器の生産工程における移行計画として、衛生陶器製造全拠点と水リスク拠点それぞれで2030年度までの水の再利用率の目標を50%以上、65%以上に設定し、水資源への依存とリスクの軽減に向けた取り組みを行っています。
また、WILL2030をはじめとして、自然関連課題に対する目標を設定し、サステナビリティ経営に向けた取り組みを推進しています。
各指標、目標、等については財務・非財務データ集をご参照ください。
サステナビリティ経営に取り組んでいる当社では、WILL2030における「サステナブルプロダクツ商品構成比」を複数年度業績連動賞与の社会的価値・環境価値指標として、2022年度より設定しています。
2023年度からは、ステークホルダーの皆様との価値共有を一層進め、より地球環境に配慮しながら豊かで快適な未来社会の実現を目指すため、WILL2030 の長期目標で掲げる社会的価値・環境価値の全6項目を複数年度業績連動賞与の指標として設定しています。
WILL2030 社会的価値・環境価値指標
水使用量の推移
取水量
| 水源別 | 単位 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 地表水 | 千m3 | _ | _ | _ | _ | _ |
| 地下水 | 千m3 | 463 | 426 | 419 | 354 | 328 |
| 海水 | 千m3 | _ | _ | _ | _ | _ |
| 生産随伴水 | 千m3 | _ | _ | _ | _ | _ |
| 第三者の水 | 千m3 | 2,212 | 1,981 | 1,598 | 1,431 | 1314 |
| 総取水量 | 千m3 | 2,675 | 2,407 | 2,017 | 1,785 | 1,642 |
| (売上高原単位) | m3/ 百万円 | 4.15 | 3.43 | 2.87 | 2.46 | 2.23 |
水消費量
| 指標 | 単位 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 水消費量 | 千m3 | 825 | 694 | 566 | 422 | 317 |
水リサイクル量
| 指標 | 単位 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 水リサイクル量 | 千m3 | 2,163 | 2,008 | 1,737 | 1,765 | 1494 |
| 水の再利用率 | % | 44.7 | 45.5 | 46.3 | 49.7 | 47.6 |
排水量
| 排水先別 | 単位 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 地表水※ | 千m3 | 702 | 668 | 609 | 596 | 531 |
| 地下水 | 千m3 | _ | _ | _ | _ | _ |
| 海水※ | 千m3 | 33 | 40 | 39 | 49 | 57 |
| 第三者の水※ | 千m3 | 1,115 | 1,004 | 803 | 718 | 737 |
| 総排水量※ | 千m3 | 1,850 | 1,713 | 1,451 | 1,363 | 1,325 |
| (売上高原単位)※ | m3/ 百万円 | 2.87 | 2.44 | 2.07 | 1.88 | 1.80 |
※ 2025年に過年度における排水量及び水使用量の集計方法の見直しに伴い、当該数値について遡及修正を行いました。
水使用量削減の取り組み、についてはこちらからご参照ください。
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