一般トイレブース用パウチ・しびん 洗浄水栓付背もたれを新開発

 一般トイレに足を踏み入れたときに印象的なのは、ともかくどこをとっても広いこと。ブースの内部だけでなく、洗面コーナー、通路幅、すべてが北海道のスケールを象徴するかのような広さで、ビビッドカラーの折れ戸が全開したブースがずらりと並んださまはなんとも壮観。
  設備の見どころとしては、多機能トイレにオストメイト対応の汚物流しがあるのは当然といえば当然だが、一般トイレのブースのひとつにも見慣れない水栓が配置されている。以前開発された製品をモデルチェンジしたというTOTOの「パウチ・しびん洗浄水栓付背もたれ」がそれで、背もたれ部分に切り欠きがあり、必要に応じて引き出して使用する。実際の検証を経て、操作性や安全性にこだわり、何度も試作を繰り返して完成したものだという。
  オストメイトの検証に立ち会った北海道空港の橋坂江利子さんは次のように語る。「外見からは身体状況がわからないオストメイトの方にとっては、施設内にひとつかふたつしかない多機能トイレを長時間専有するのはとても気が引けるとうかがいました。パウチの洗浄、交換などに慣れない方だと30分以上もかかることがあるそうです。それだけに、一般トイレ内のブースに簡易に洗える設備があるのはとても助かるとおっしゃっていました」
  健常者が使用する際には存在をさほど感じさせず、決して邪魔になることもなく、使いたい人が使いたいときだけさりげなく引き出せる製品は、まさにユニバーサルデザインの先進的なトイレにふさわしいといえるだろう。
  このほか、男女トイレともオムツ替えコーナーやベビーチェア付きブースを確保し、女子トイレ内には幼児用小便器コーナーも設けるなど、子ども連れ客向けの対策も万全。
  別に、ゆとりのある授乳室も完備している。車いす使用も考慮して、高さが異なるふたつのオムツ替えシートを用意し、乳児以外の子どもが落ち着いて待てるよう、ソファも配置。リビングのようなあたたかみのあるスペースに仕上がった。
  北海道は、とりわけ東アジアからの身近なリゾート圏としてブランド化されつつある。充実した水まわりは、さらに世界に向けた空の玄関口にふさわしい施設にしたいという意気込みの表れにちがいない。日本の最先端のトイレ空間を、はたして海外観光客がどのように受けとめるのか、その評価が楽しみだ。

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