アクアオート/オートソープディスペーンサー
開発秘話

清潔と節水・節石けん液を
両立する!
手洗いの自動化で
環境に優しく、
衛生にも貢献していく
今やパブリックの施設では当たり前となっている手洗いの自動化は、いつから始まったのでしょうか。
自動水栓『アクアオート』と自動水石けん『オートソープディスペンサー』の開発担当者に聞きました。
──いつ頃から自動水栓の開発は始まったのでしょうか。
溝口●TOTOには昔からクリーン(清潔)とグリーン(節水)という一貫した開発コンセプトがあります。その実現に向けて自動水栓の開発に取り組み始めたのが、1960年代のこと。
当初から、感染症の予防として手を器具に触れずに水を出して洗う「非接触の手洗い」が理想であると考えていました。先行して小便器の水流を電気で制御する研究が始まっており、手洗い水栓にも応用できないかと考えたところから、開発が始まったそうです。
──その結果、84年に初代アクアオートが登場しました。普及の過程でどんな改良を施したのでしょうか。
溝口● 自動水栓は手を差し出せばサッと水が出て、手を引けば止まるのが理想。ストレスのない使い心地を追求し、センシング技術の開発に取り組んできました。
初代アクアオートの開発ではセンサーが流水を感知して、手を引いても水が止まらないトラブルがあったそうです。
手だけを感知するよう、センサー感知を正面ではなく右側へずらして発売しましたが、左側からのアプローチでは反応しない課題がありました。その後センサーの小型化に成功。
現在は、手を差し出す吐水口へセンサーを配置し、ストレスのない使い心地を実現しています。
──作動に欠かせない電源の確保にはどう対応しましたか。
溝口●電源がない古い施設でも、電源工事なしで取り替えられる商品を開発しました。
電池式もありますが電池交換の手間をなくせないか、そこで考えられたのが、2001年に登場した自己発電式です。吐水時の水流で羽根車を回転させて発電します。
当時は電気を確保するために最低使用回数がありましたが、現在の自己発電は回数制限がありません。省電力化の徹底により発電技術を進化させたことで、長期間使っていなくても問題なく作動します。
──自己発電にはどのようなメリットがありますか。
溝口●施設にとっては電源工事の費用削減や、節電による管理の効率化といったメリットがあります。また利用者にとっては停電時も継続して利用できることで利便性が高まります。
例えば、災害時に避難所となる公共施設では、最低限の機能を維持するために確保された電気を使わずに、「非接触の手洗い」で避難所の衛生対策に役立つことができます。
──開発コンセプトの柱、節水についてはいかがですか。
溝口●重要なのは、ユーザーが十分な水で手を洗えたと感じながら、同時に節水もできていること。そこに貢献しているのが『泡まつ吐水』の機能です。
流水の中に細かな空気の泡をたくさん含ませることで、少ない水でもソフトでたっぷりとした感覚を味わえるように工夫しました。
最新の『節水タイプ』の使用水量は2L/分と、初代アクアオートの半分以下です。

水はね、たっぷり感、水の広がり、吐水の見た目、水石けんの落ち具合など、「手洗い感」の満足と節水の両立を実現。
──アクアオートとセットで設置されることの多いオートソープディスペンサーは、
どんなきっかけで開発が始まったのでしょうか。
富山●より清潔性・衛生性が求められる工場のクリーンルーム向けとして80年代に開発が始まったと聞いています。
88年にはパブリックの施設に衛生的な手洗いを展開するため、手洗いから乾燥まで「非接触」で行える全自動洗面器を開発。
その後自動水栓の普及と足並みを揃えるように、オートソープディスペンサーの需要も拡大し、さまざまな施設へと広がっていきました。
──90年代に水石けんが泡状のムースに
なって出てくるタイプも
登場しています。ムース化の利点は。
富山●水石けんをきめ細かなムースにすることで、液体で使うよりも少ない石けん液でしっかりと手洗いでき、節液やすすぎ水の節水につながります。
ムース化すると表面積が増えるので、石けんに含まれる界面活性剤を効率よく使うことができます。また、1回当たりの使用液量が少ないと石けん液の補給頻度の軽減にもなります。
利点の多いムース化ですが、実は開発中に偶然生まれた技術なんです。水石けんがたまたま空気を巻き込んで泡状になって出てきたことが開発のヒントになったそうです。

量感のあるきめ細かなムースにすることで、水石けんの使用量を最適化。すすぎ時間の短縮にも貢献。
──メンテナンス面でどんな工夫がありますか。
富山●当初は供給栓1台に対して補給タンク1台でしたが、92年には1台の補給タンクに複数の供給栓をつなげられる装置を開発しました。
現在は楽な姿勢で補給ができる補給口(オプション)のご用意や、タンクを小型化して取り外して丸洗いできるなど、改良を加えています。
補給口(オプション)を設置すれば、カウンター下でも楽な姿勢で補給ができる。
──今後、製品をどのように進化させたいと
お考えでしょうか。
溝口●昨今の新型ウイルスに対する問題で今まで以上に清潔に手洗いをしたいという声は高まっています。こうしたニーズに応え、より使い勝手を高め、環境に優しい水栓へと進化し続けたいですね。
富山●石けんを使った手洗いが重視される時代だからこそ、その環境性能はますます重要。
これからも節水や節液などの機能を高めていきます。
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- TOTO技術相談室
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