特集/座談会

「今は“関係性”と“環境”に興味がある」――西沢

藤森 僕がその白の問題に興味があったのは、藤本さんもそうなんですが、君たちが実験を始めているんじゃないかと思うからです。建築には、高さとか横の広がりとか、壁とか窓とか入り口とか、内と外とか、基本的な性格というものがあって、それについての実験をみんなが始めている。
 で、実験をするときにはなるべく夾雑物がないほうがデータが乱れなくていいから、それで白くするんじゃないかと。そういう側面はありますか。
西沢 実験というのはまさにそのとおりで、むしろそういう意味で、僕は白く塗りたくなかったのです。白く塗ってしまうとそれが目立ってしまって、それがテーマに見えてしまい、自分たちの実験の中心がかすんでしまうから、白はあまりやりたくなかったのです。本当は素材だけで組み立てたい。コンクリート造ならコンクリートのまま、鉄骨なら銀色のままというのが理想ですが、現実にはなかなか難しいですね。
藤森 たとえば、内と外のあいだには何があるかとか、いろいろな実験のテーマがあると思うけれど、西沢さんは今どういう実験に興味がありますか。
西沢 人間が今まで経験してこなかった空間や建築をつくりたいのですが、やはり僕は空間の関係性がテーマのひとつになっていると思います。新しい関係性というものは、建築だと非常に明快に、わかりやすく示すことができると思うのです。
 環境にも興味があります。建築をつくると環境ができる。壁で囲われた建築だとどうしても住環境は室内にできるものととらえがちですが、実際に建築をつくると、中と外を超えた形で環境が生まれてきます。建築は敷地内に納まっているけれども、建物ができることでまわりの風景も変わるし、中と外にいる人が体験する空間も、敷地を超えた大きさがあると思うんです。そういう環境、壁で囲ってできる空間というものと違う空間の存在をイメージしているのかなと思います。
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