「東急キャピトルタワー」良質な空気をつくり出す ザ・キャピトルホテル 東急 ホームページへ

 東京・永田町のキャピトル東急ホテルといえば、各国の著名人に愛された名門ホテル。古くは魯山人が美食をきわめた高級料亭「星岡茶寮」があった由緒ある土地に立ち、内装には吉田五十八や剣持勇もかかわっていたという。
 老朽化による建て替えのため、2006年11月末で43年間の営業を終了した同ホテルの跡地に、このほど新ホテル「ザ・キャピトルホテル 東急」を核とした地上29階、地下4階建ての高層複合ビル「東急キャピトルタワー」が誕生した。おもなフロア構成は4~13階がオフィス、16~17階が賃貸住宅、18~29階と5階の一部がホテル客室。地下2階は東京メトロ溜池山王駅・国会議事堂前駅に直結している。デザインアーキテクトに隈研吾氏を起用、設計は永田町二丁目計画 東急設計コンサルタント・観光企画設計社設計共同企業体。
 東京急行電鉄の西澤信二さんによれば、今回のプロジェクトを貫くコンセプトは芭蕉にあやかった「不易流行」の精神。「残すべき伝統や文化を大切にしながら、新たに変化、進化していくことも大事。過去と未来は別ものではなく、ひとつのものとしてつながっていなくてはならないんです」と語る。そのため、全体に和を取り入れつつも装飾に傾きすぎず、内と外の一体感がある空間を目指したという。
 ホテルの設計を担当した観光企画設計社の若本俊幸さんも、「あまりインテリアが主張しすぎず、壁で隔てるのではなく庭と一体化した透けた空間にしたかった」と振り返る。客室のバスルームについても、浴槽・便器・洗面器が川の字に並んだ以前のプランから半世紀後、どう新しさを取り入れるかに腐心し、たとえ開口部に面したビューバスが実現できない部屋であっても、外光が感じられるバスルームをつくりたいと考えたとのこと。
 ちなみに、このタワーの足元に広がる緑のボリュームは都心では破格で、敷地の西には日枝神社の豊かな杜が広がり、この緑と連続するように庭を設け、神社の参拝客や地域住民にも開放した散策路も確保してあるため、どこが敷地境界線かわからないほど。さらに、ホテルは6mスパンの大開口を実現したため、内外の一体感は格段に高まっている。

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