特集/インタビュー⑥

イメージが立ち上がるとき言葉とルール 大西麻貴+百田有希 ホームページへ

言葉とルールの発見

 建築家になりたい、と、強く意識したのは伊東豊雄さんの影響があるという。非常勤で教えにきていた伊東さんに京都大学で出会い、その後福岡でワークショップを開いた伊東さんの指導のもとで、公園内に「地層のフォリー」を設計した(福岡の学生、小川勇樹、熊澤智広、南方雄貴を含めた共同設計/2009)。伊東さんにイメージ模型を提出し、「これは、浮かんだ洞窟だ」と言われた瞬間、自分自身のイメージがふくらんでいくのを感じたという。与えられた円形の土地がそのまま、十分な厚みをもって浮き上がり、内部に潜り込むような空間をもち、空へ抜けたり地下へ潜ったりすることで作品を完成させた。ここで言葉の力を感じたという。ひとつの言葉で、外観イメージから素材、内部構成、そのほかが一挙に立ち上がったという体験。さらに「穿(うが)つ穴を正方形に、それらが重なりあって回遊できるひとつながりの空間」というルールが重要な役割を果たしたと。
 計画中の「千ヶ滝の別荘」にはイメージの飛躍がある。始まりのスケッチはなんと「走る家」「スカート」から。その因果関係は他者にはうかがいしれない。定着したのは湾曲する4枚の面で構成された屋根の形態が生まれたとき。「4枚の鉄板が自重でたわみ、互いに支えあうことで成立する」と構造の新谷眞人さんに指摘されて具現化できた。鉄板の自重を利用するというルールに強く触発された。鉄板を切り込み、その一部を引き上げることで開口が自然な力学で開く。内部天井の曲面はそのまま窓の形状へと流れていく。引き剝がされようとする鉄板の一部が窓の開口となる。窓が取り付けられるのではなく。この鉄板のルールを明確化することによって内部空間の有り様が新しくなった。言葉を発見しながら、同時にルールを確認しながら設計行為が進むようだ。

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