小屋は地域を意識したデザインですでに39カ所。たとえばJR徳島駅近くの小屋の屋根は阿波踊りの女性がかぶる「鳥追い笠」を下敷きにして建てられている。
歌さんがこのプロジェクトを思いつき走りはじめるきっかけは遠く子ども時代に帰る。徳島に生まれ、幼い頃、白装束のお遍路さんが玄関先に立ち、拝んでくれるたび、お米などそのとき家にあったものを首につるす袋に入れてあげる。「お接待」だ。その思い出が年を重ねるごとに強くなり、このプロジェクトを発想することになった。ひとりで始めたことだけれど今は数百人の賛同者がいる。各地に小屋を掃除したり維持したりする共同体もできている。ヘンロ小屋を建てること自体がお接待の精神の現れであり、維持することもお接待だ。
何が、このプロジェクトにこれだけ人を引きつけるのか。