特集6/ケーススタディ

パネル化の試み 原田真宏・原田麻魚 Mount Fuji Architects Studio ホームページへ

 静岡県焼津市の静かな住宅街。とある家の庭に、東西に細長く白い離れがある。よく見ると長辺方向の側面の壁は、パネルが交互に傾きながらつながっている。妻側にまわると、両側の面には大きなガラスと木枠のガラス戸がはめられており、この建物は変形したロの字型のチューブが連続してできていることがわかる。
 ここは陶芸の趣味をもつ建て主夫婦が、時間を気にすることなく製作に励むことのできるアトリエ兼ギャラリーであるという。裏手にまわり、縁側のようなスペースから中に入る。床・壁・天井の合板が仕上げとしてそのまま現れ、囲われた空間。大開口を通して、東側には庭の梅や柿の木が、西側には隣接する公園の緑が見える。室内の仕上げや造作がシンプルなぶん、外の自然が豊かで身近に感じられてくる。妻側の大開口、またパネルの交差でできている三角形の窓から入る光で、室内は十分に明るい。
「新車を買う代わりに、陶芸小屋を建てられないだろうか」と持ちかけられた原田真宏さんと麻魚さん。その予算は150万円。建築としてはわずかな金額であっても、自動車では確かに動力や設備機器などを完備した立派な「個室」が手に入る金額である。「ホームセンターでも安く売っている構造用合板を使い、合理的でリーズナブルなあり方を求めることにした」という原田さん。予算上、大部分をセルフビルドとすることは必須条件となるが、普段の仕事があるのでそれほど多くの時間をかけることができない。原田さんたちは厚紙で模型をいくつもつくりながら、安定した構造と合理的な形状を生み出す工法を一気にまとめ上げた。その鍵となるのが、オリジナルの複合パネルである。
 主な構成材となるこのパネルは、900×1800×12㎜厚の構造用合板を4~5枚積層して張り合わせたもの。屋根パネルは温熱環境の向上と軽量化のために、中に断熱材を入れて製作している。パネル1枚の重さは30~50㎏ほどで、大人ふたりで運搬し取りまわすことができる。これらのパネルの製作は建具業者に依頼した。

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