特集3/ケーススタディ

移築、再生、移築

 つくば駅からのタクシーで筑波大学の広大なキャンパスへ向かう。「雑多なモダニズム」としかいいようのない建物群を抜け、「このあたりだと思うけど」と小道に入ると、ごく控えめにその「小屋」は姿を現した。冬の草木に埋もれているかのようだ。
「光の壁、イタクラギャラリー」は、八ヶ岳山麓に100年以上前に建てられた板倉を、5年前に移築再生したもの。当時、筑波大学博士課程に在籍していた樋口貴彦さんの仕事だ。そして建物を特徴づけているのが、壁の中ほどをめぐるガラスの帯。廃棄ガラスを半溶融し粒状構造体として成形した「Re-glass」のブロックで、同博士課程の学生だった志村真紀さんが製作した。時を隔てながらともに再生された素材、そして研究分野を異にする設計者の出会いが、ユニークで魅力的な小屋を生み出した。樋口さんからお話をうかがう。

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