特集6/ケーススタディ

 パネル同士の取り付けは、金物などを表に見せない納まりをしている。壁パネルの長辺の中央の小口には20㎜径のダボ穴加工を施し、隣のパネルとは溝を切ったステンレスダボで連結していく。短辺の小口には横長のホゾ加工を施し、屋根と床をつなぐ。床パネル同士と屋根パネル同士もホゾでつなぎ合わせて固定する。壁―床と壁―屋根の接点はピン接合であるが、床面と屋根面は剛性が高いので、全体ではしっかりと固定される。
 建物の「XXXX」という名称は、壁パネルがX字にクロスする様子を指している。工事中、壁パネルをX字状に連結していけば、屋根材を架ける前でも一時的に自立する。足場を組む余裕のないセルフビルドの現場を見据えての形であった。このX字の角度は、模型に力を加えて検証して確かめていったという。「結果的に、強い角度のところが最も美しいと感じるフォルムでした」という原田さん。パネルは柱・梁・壁面・床面・屋根面のすべてを兼ね、自重が軽くて堅い「木製モノコック構造」ともいえる構造物ができた。今回は全長7.2mにされたが、さらにつなげて長くすることもできる。
 このパネルには、コストダウンのためにサッシの役割ももたせられている。妻側の大きなガラスは、積層させた構造用合板のうち2枚分に溝を切り、差し込む。屋根パネルは水勾配を付けており床とは平行でないため、端からスライドさせてはめることができた。壁がクロスした部分にできる三角形のスリットは、外側から6㎜厚のフロートガラスでふさぎ、2カ所のクリップとシーリングで留め付けている。

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