特集7/ケーススタディ

不自由さがもつ自由の可能性

 さてpacoを設置することを想定していくと、長坂さんはインフラのことを考えざるをえなくなった。どれほど小さな建造物であっても、大きな建物と同じように電気やガスなどのインフラ、給排水や合併浄化槽が必要とされ、それらの整備には多大な手間やコストがかかってしまう。一方で、ソーラーパネルや雨水利用など自立型の設備を整えたインフラフリーハウスにしようとしても、現時点の試算では4000万円ほどかかってしまうという。しかし、長坂さんは考える。どのような規模の建造物にも同じルールが適用される現在の状況は不自然で不自由なのではないかと。長坂さんは「こうした自立型の領域に、日本の高い技術力が投入されるべきでしょう。この小さな1戸が自立できれば、より大きな街や都市でも自立しサスティナブルになることにつながっていくはず」と語る。
 pacoはかわいらしい姿をしてはいるが、そのなかには既存の枠組みに一石を投じ、打開する可能性がいっぱいに詰まっている。

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