特集2/レポート

農作業用倉庫“Agricultural Warehouses”都市化の波が打ち寄せる田園地帯の歯止めとして

 この計画は、敷地のマスタープランを手がけた建築家リカルド・エスピリト・サントと私たちの協働による。かつて田園地帯であった一帯は、現在では都市化の波が押し寄せていて、この計画にはその歯止めとしての役割が求められていた。なお、このあたり一帯は第3セクターの機関によって環境保全が講じられている。
 敷地全体は1万2000㎡で、それが300~500㎡からなる18区画に分けられ、それぞれの区画には小さな倉庫が付設される。そのほか共通施設として貯水槽、風力揚水ポンプ、用水路、堆肥置場がある。それぞれの倉庫には屋根面からの雨水を貯める小さなタンクが付いている。
 倉庫の建設には現地で容易に入手可能な材料である藁を梱包したものを用いた。梱包された藁は壁を形成し、屋根を支えている。コンクリートブロックを列状に並べ、それを基礎としている。壁の上下には木材の梁と土台が通されているが、この定形の木材は建設の効率を格段に高めるために考えられたものである。
 最初の1棟は、建て主側のふたりの協力を得ながら私たちが建設したが、残りの8棟はそのふたりが求職センターから募った人たちを指揮して完成させた。そのうち、建設工事の経験者はただ一人であった。

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