北馬場参道通り商店街は、江戸時代末期に品川宿が存在した地にあり、現在は品川神社の参道にあたる商店街です。都心に近い立地ながら、歴史を感じさせる独特の雰囲気が魅力なこの地に2016年6月に開業されたのが新馬場眼科。芳賀剛院長と設計を担当された三木さおり氏にこだわりのポイントをお聞きしました。
東京都内に新しく建てられる建築物に関しては、「景観条例」や「福祉のまちづくり条例」を守らなければなりません。「景観条例」とは外観については景観と調和した環境を確保するために定められた条例で、「福祉のまちづくり条例」とはハンディキャップを持っている方が健常者と同じように施設を使えるようにと定められた条例です。
こちらの眼科でも景観を意識して作られた外観に合わせ、内装は白を基調にしたシックな雰囲気に東海道の宿場町をイメージした格子や木目を取り込みました。患者さんの中には「ラウンジみたいで病院っぽくない」と言われる方もいらっしゃいます。
院長の芳賀様は「今まで病院に勤務していましたので、トイレについての不満を聞いていました。そこで開業するときはこんなトイレにしたいなどといろいろと考えていたのですが、実際は『福祉のまちづくり条例』に沿って、トイレの出入り口の幅を850㎜以上にしなければならなかったり、便器の両側に手すりをつけなければならなかったため、考えていたものから、かなりレイアウトを変更する必要がありました」。
設計を担当された三木氏も「条例に合わせて、そもそも『オストメイトとは?』というところから検討を始めました。当初はゆったりめのトイレにするというプランがあったのですが、もう一度考え直すことに。それでもTOTOさんの、従来の便器より奥行が60㎜コンパクトな大便器やシンプルなデザインの小便器を採用するなどで、スペースの課題をうまくクリアすることができました」。
院長の芳賀剛様(左)と設計を担当された三木さおり氏(右)
機器を選ぶ際のポイントはどこにあったのでしょうか。三木氏は「もともと見えない汚れや菌まで除菌・分解してくれるTOTOさんの『きれい除菌水』に注目しており、クリニックに使ってみてはどうかと思っていたので、今回、温水洗浄便座はTOTOさんのウォシュレットに決めました」。
院長の芳賀様は、「スペースが限られていましたので、何をどう組み込むかに一番悩みました。例えば、大便器ひとつだけにすると、男性が立って使用するときに大便器の周りが汚れるのではと思ったので、小便器をいっしょに設置したいと思っていました。しかし、オストメイトや手すりをつけるスペースも必要となってきますので、一時は小便器の設置をあきらめていました」とのこと。
「でも最終的には小便器、大便器、オストメイト、開閉式のベビーシート、手すりがついて、しかも車椅子が回転できるスペースも確保されたトイレスペースができましたね」と三木氏。院長も「まるでパズルをはめていただいたようにうまく設計していただきました」とご満足。
できあがったトイレについて、院長の芳賀様は「水を流す音が静かで、それでいてすぐに水が溜まります。便器のデザインがスリムでコンパクトなので、スタッフいわく、便器のうしろまで手がまわるから掃除もしやすいそうですよ。それにリモコンのボタンが大きくて使いやすいのも気に入ってますね。明るくて使いやすく、患者さんにも『広くてきれい』と言っていただいています。トイレについては、デザインや間取りも他のクリニックと差別化できたんじゃないかなと考えています」。
歴史を大切にする街にできた新しいクリニックのトイレは、患者さんにもスタッフの方にも大好評のようです。
[トイレブース] コンパクトにまとまったトイレスペース。フラッシュタンク式の大便器は、一度洗浄してから約20秒で次の洗浄が可能です。
[洗浄リモコン] ボタンを押すと発電し、その電力でリモコンが作動。電源や乾電池は不要です。
設置施設 | 新馬場眼科 |
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関係者 | 芳賀 剛様(新馬場眼科 院長) 三木さおり様(ARCHI+GLAM 一級建築士) |
オープン日 | 2016年6月 |
使用機器 | |
大便器 | パブリックコンパクト便器・フラッシュタンク式 CFS497BY |
便座 | ウォシュレットPS、エコリモコン TCF5533AUR |
小便器 | 自動洗浄小便器 自己発電・節水タイプ UFS910W |