和歌山市に2016年3月にオープンした「LURU HALL（ルルホール）」はわずか33席とコンパクトながら本格的なコンサートホールの音響設備と照明を取り入れたライブスペースです。ドリンクや食事を味わいながらジャズやクラシック、演歌を聴いたり、蓄音機でレコードの音を楽しんだりとさまざまなイベントを行っています。

ライブに行くワクワク感は、会場を目の前にしたときから始まります。そこで駐車場からホールまでのアプローチにもこだわりました。ここを通ると現実世界から夢の世界に踏み込める……。そんなイメージが表現されています。本物志向のファンが多いというLURU HALLのオーナーの岩橋和廣様と設計を担当された北村等氏にポイントをお聞きしました。

コンサートやライブでトイレに行くのは開演前か幕間の時間です。これから始まるステージへの期待感や音の余韻に浸りたいというときにトイレでの行列は避けたいもの。そう考えて、LURU HALLには順番待ちを少なくするために男性用、女性用、男女兼用のレストルームを設けています。

「日本国内だけでなく世界のライブハウスを見てきましたが、やはり会場にトイレの数が少ないのはマイナス要素になると感じました。トイレの待ち時間が長いのは避けたかったんです。」とオーナーの岩橋様。設計の北村氏も「最近のパブリックスペースは男女別室のトイレが好まれています。この敷地でレストルームを3室設けるのは設計上難しかったのですが、TOTOさんのトイレはコンパクトなのできれいに収まりました。」と満足げ。

また楽屋にもレストルームが設けられていて、出演者に大好評なのだとか。「アーティストが観客と同じトイレに並んでいるのは興ざめですからね」という岩橋様の言葉通り、出演者も観客も純粋に音楽を楽しめます。

さらに節水効果があるエコ便器なので、大便器を3台設置しても従来の大便器の1台分の洗浄水量でいいということも大きなポイントでした。

オーナーの岩橋和廣様（左）と
設計を担当されたPON PON Designの北村等氏（右）

LURU HALLはオーナーと設計者、音響担当、照明担当、グラフィックデザイナー、そして施工業者それぞれの強みやアイディアが凝縮されています。内壁には和歌山産の杉の角材を斜めに貼り付けています。これはデザイン性だけでなく、音響効果もあるのだとか。
「構想から完成まで1年近くかかった」と振り返る北村氏は、トイレに関して次のように語ります。

実はTOTOのトイレを勧めたのは施工業者さんなんですよ。あまりに熱心に推すので、実際にTOTOのショールームに行ってお話を伺ってきました。「音が小さい」「コンパクト」「（便器）洗浄時間が短い」という3つのポイントを聞いて、「これこそこのホールにぴったりだ！」と感動しました。

私も仕事柄、多くの製品を扱っていますが、こんなに音が小さくて（便器）洗浄時間が短いトイレはありませんね。トイレを使っていてもホールはもちろん、通路にもほとんど音が聞こえません。それにリモコンの操作ボタンの押しやすさやわかりやすさもNO.1だと思います。シニア層のお客様も多いですが、大きなボタンで親切な設計ですよね。

レストルームの床は乾式清掃です。水を流す必要がないので、排水口を設けていません。「サッと拭くだけでいいのが便利ですね」とスタッフの方にも好評です。

さらに北村氏からは「男性用の小便器が壁掛け式になっているのは掃除のやりやすさに加えて、汚れが飛び散らないのがいいと思います。絶妙な高さなんじゃないですか？便器の近くに寄って用が足せるのは男性にとってありがたいことです」との本音が。

一方、女性専用のレストルームは少しでも広く使えるように洗面器の形に合わせて特注のカウンターを作りました。お客様からは「トイレが広くて使いやすい」との声が寄せられています。

これからも数多くのイベントが企画されているLURU HALLは、ますます多くのお客様が集う場になりそうです。