ニュースリリース
2025年1月15日
TOTOギャラリー・間、TOTO出版
Kazuo Shinohara: Inscribe Eternity in Space――A centennial exhibition with 100 questions
TOTO株式会社(本社:福岡県北九州市、社長:清田 徳明)が、社会貢献活動の一環として運営している 「TOTOギャラリー・間(ま)」(東京都港区)は、建築家・篠原一男の生誕100年を記念し、「篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い」を2025年4月17日(木)〜 6月22日(日)の会期で開催します。
本展覧会では、篠原一男にゆかりのある建築家の奥山信一氏、貝島桃代氏、建築史家のセン・クアン氏をキュレーターに迎え、生涯を通して自らに「問い」を投げかけ続けた氏の建築家像を「永遠性」をテーマ に再考します。
TOTOギャラリー・間では、建築家・篠原一男の生誕100年を記念し、「篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い」を開催します。
篠原一男(1925-2006年)は東京工業大学(現:東京科学大学)で清家清(せいけきよし)(1918-2005年)に学び、卒業後は同大学で教鞭をとりながらプロフェッサーアーキテクトとして、退職後は自邸兼アトリエ「ハウス イン ヨコハマ」(1985年)に篠原アトリエを構え、設計と言説の発表を続けました。坂本一成、伊東豊雄、長谷川逸子に代表される「篠原スクール」と呼ばれる一群の建築家を輩出するなど、また氏の薫陶や影響を受けた多くの建築家が現在、建築界の第一線で活躍しています。
篠原一男は「住宅は芸術である」と唱え、小住宅の設計に多大なエネルギーを費やしました。篠原の住宅は日本における現代住宅のひとつの到達点を示すものとして、現在国内外で再評価の機運が高まっています。この言葉とともに発表された初期の代表作「から傘の家」(1961年)は2022年にスイス、バーゼル近郊(ドイツ、ヴァイル・アム・ライン)のヴィトラ・キャンパスに移築再建され、「白の家」(1966年)、「地の家」(1966年)、「谷川さんの住宅」(1974年)もそれぞれ移築や再生によって継承され、その空間を今にとどめています。
本展覧会では、篠原一男にゆかりのある建築家の奥山信一氏、貝島桃代氏、建築史家のセン・クアン氏をキュレーターに迎え、生涯を通して自らに「問い」を投げかけ続けた氏の建築家像を、「永遠性」をテーマに再考します。
会場では、東京工業大学篠原研究室作製の原図や模型、真筆のスケッチ、家具などのオリジナル資料を、氏の言説から抽出した「100の問い」と氏自らの分類による「第1の様式」から「第4の様式」に沿って構成し、その活動と人間性を浮かび上がらせます。
篠原の「第5の様式」を予感させる未完の遺作、「蓼科山地の初等幾何」(2006年、計画案)のスケッチも展示予定です。
本展覧会が、氏の遺した空間と言説を次代に継承するための一助になることを願っています。
TOTOギャラリー・間
展覧会名(日)― 篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い
展覧会名(英)― Kazuo Shinohara: Inscribe Eternity in Space――A centennial exhibition with
100 questions
会 期 ― 2025年4月17日(木)~6月22日(日)
開 館 時 間 ― 11:00~18:00
休 館 日 ― 月曜・祝日 ただし5月3日(土)、4日(日)は開館、5月6日(火)は休館
入 場 料 ― 無料
会 場 ― TOTOギャラリー・間
(〒107-0062 東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F)
東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分
TEL:03-3402-1010
主 催 ― TOTOギャラリー・間
企 画 ― TOTOギャラリー・間運営委員会
(特別顧問=安藤忠雄、委員=貝島桃代/平田晃久/セン・クアン/田根 剛)
キュレーター ― 奥山信一/貝島桃代/セン・クアン
アシスタントキューレター ― 小倉宏志郎
後 援 ― (一社)東京建築士会/(一社)東京都建築士事務所協会
(公社)日本建築家協会関東甲信越支部/(一社)日本建築学会関東支部
協 力 ― 篠原一男生誕百年企画委員会/東京科学大学博物館/
東京科学大学 奥山信一研究室
篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い
東京オリンピック1964の閉幕から、EXPO’70へと向かう1960年代半ば、日本の先導的建築家の多くは都市空間の進展と直截連動した建築コンセプトの構築に邁進していた。そんな状況のなかで、1辺10m四方の中心からわずかに外した位置に1本の直線を走らせた単純な平面形を瓦葺きの宝形屋根で覆った住宅と、歪んだ平面の土間床の広間に地中に沈む寝室を接続させた異様な住宅で、篠原一男は「空間の永遠性」を表明することになった。これら2つの住宅は、篠原のなかで対照をなす祖型的な空間イメージが込められたものとして「白の家」「地の家」と命名された。「白の家」は2008年に、「地の家」は2025年に、原形をとどめたまま次なる継承者へ引き継がれ、またそれらに先行する作品「から傘の家」も、2022年の秋にスイス・バーゼル近郊に移築再建が完了している。個人住宅の存続が困難な日本の社会的風土のなかで、約半世紀前の篠原の予言がいま、少しずつ現実化しつつある。
篠原は、その生涯を通じて数多くの「問い」を自らに投げかけることで創作の前進を図った建築家である。そうした「問い」のなかでも「永遠性」の表明は、時間とともに変動する建築の仕組みを内蔵したメタボリズムへの対抗意識からの発露ではあったが、その逆説的視点を超えて、時間を透徹する建築空間の固有性を希求し続ける篠原の創作の根幹を終生支える思想となった。
グローバル資本主義が蔓延する現代社会で最も見失われたのは、この射程の長い時間感覚を含んだ建築の思想である。今回の記念展では、この見失われた思想を、生涯をかけて言葉と空間の両輪で刻印し続けた建築家・篠原一男の活動を再考する。
奥山信一
篠原一男(Kazuo Shinohara) 建築家
1925年静岡県生まれ。東京物理学校数学科(現:東京理科大学)を卒業し、数学の教職を経て、東京工業大学(現:東京科学大学)建築学科に入学。1953年に卒業、同大学で1986年まで教鞭をとる。退職後、篠原アトリエを設立。イエール大学、ウィーン工科大学客員教授。2006年逝去。
日本の伝統様式への洞察から独自のモダニズム理解を経て、現代都市と交感した様式へと作風を展開し、住宅建築を中心として建築の創作活動を実践。その間一貫して住宅と都市に関する建築理論を残した。おもな著作に、『住宅建築』(1964年、紀伊國屋新書)、『住宅論』(1970年、鹿島出版会)、『超大数集合都市へ』(2001年、エーディーエー・エディタ・トーキョー)など。
1972年「未完の家」以後の一連の住宅で日本建築学会賞、2010年に第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展記念金獅子賞を受賞。
キュレーター
奥山信一(Shin-ichi Okuyama) ― 建築家、東京科学大学教授
貝島桃代(Momoyo Kaijima) ― 建築家、アトリエ・ワン共同主宰
ETHZ Professor of Architectural Behaviorology
セン・クアン(Seng Kuan) ― 建築史家、東京大学特任准教授
ハーバード大学デザイン大学院講師
アシスタントキュレーター
小倉宏志郎(Koshiro Ogura) ― 東京科学大学技術支援員
『篠原一男』
1996年発行の作品集『篠原一男』の復刻版を、展覧会に合わせて発行します。
著 者 ― 篠原一男
発行年月 ― 2025年4月(予定)
発 行 ― TOTO出版(TOTO株式会社)
TEL:03-3497-1010
URL:https://jp.toto.com/publishing
ニュースリリース全文は、以下よりダウンロードしてご覧ください。
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