入社後、1年目にキッチン水栓のデザインを担当しました。この時、痛感したのは、自分のデザインの理想形だけを追いかけていた学生時代との違いでした。メーカーのものづくりの現場では、「コスト等の制約がある中で、開発部門をはじめとする多くの部門と調整しながら、いかにベストなデザインをつくるか?」を考えて工夫しなければなりません。また、最終的には、使う側のお客様がどう受け取るのかが、デザインの良し悪しの判断基準になります。そのため市場調査を行なった上で、ターゲットのお客様像を定めて、“この人”により良い価値を提供することをイメージしながらデザインに入ります。こうしたものづくりを初めて実践して感じたのは、自分のためのデザインでは得られない、使う人の気持ちを配慮してデザインワークを進める面白さでした。