神﨑建設のスタッフは30名。そのなかに営業担当はいないという。仕事の依頼は、口コミ、紹介、ホームページ、そして本を読んだ人たちからが大半。それで年間20~30棟を手がける。
「無垢の木を使ったり漆喰を塗ったりする工務店はほかにもたくさんあると思います。ただ、 神﨑建設は、無垢の木を今でも追求し、研究している会社だというのが特徴なんじゃないでしょうか」
その追求や研究の先頭に立つのが神﨑さんだ。「木については、まだわからないことがたくさんあるんです。たとえば何百年も前の古いお寺の柱はすごく固くなっていますが、時間の経過とともになぜ木が固くなるのか、その仕組みはわかっていない。でもね、なぜだろう、どうしてだろうと思って見ていると、木が教えてくれることもあるんですよ」とじつに楽しそう。それは漆喰についても同様で、実際に石灰岩を焼いて漆喰の原料をつくるところまで見に行く好奇心・探究心は並はずれている。
亡父の影響で、幼い頃から起業したいと思っていたが、工務店と決めていたわけではない。高校生のときにパイプオルガンの演奏を聴いて感動し、「パイプオルガンのある家をつくり、自分でそれを弾いてみたい」と思ったからだそうだ。その夢はすでに実現している。でも「若い人はみんなゲームをやっていますが、これが僕のゲーム」という神﨑さんの自然素材への追求は、まだまだ続きそうである。





