特集/対談

物のシェアから 価値のシェアへ 内山博文さん / 株式会社リビタ ホームページへ 髙木栄一さん / 株式会社タカギプランニングオフィス ホームページへ 内山博文さん / 株式会社リビタ ホームページへ 髙木栄一さん / 株式会社タカギプランニングオフィス ホームページへ

——シェアハウスのマーケットはどのような層と想定されていますか。

内山博文 シェアハウスを事業として始めてから8年がたちますが、当初とはシェアハウスを巡る状況が変わっています。結論から言うと、若い人たちの価値軸にはとてもマッチしています。
 リビタで運営するシェアハウスの入居者の年齢構成をみると、35歳までが約75%で、そのなかでも20代~30代前半がほとんどを占めます。企業の寮をリノベーションしてシェアハウスを始めた当時は「安かろう・悪かろう」というイメージがついてまわりました。シャワーやキッチンなどの水まわりは共用ですし、ワンルームと比較して価格的に合理的であれば借りるという人が主流だったのです。今ではそれが逆転して、ワンルームよりも価値が高ければ借りるという意識の高い人が多くいます。これは、もともと空間や水まわりといった「物のシェア」だったものが、今や「価値のシェア」に転換していることを示しています。
 そこに住むことで得られる価値は何か、ということが大切にされるようになっているのです。たとえば、最近よく耳にする言葉に「サードプレイス」という言葉があります。家でも職場でもない第3の場ということですが、家や会社のなかでは得られない価値を見出せるサードプレイスとしての役割がシェアハウスに求められるようになっています。
 入居者にとっては、自分と共通の価値軸に出会い共感することが、シェアハウスに興味を抱いて暮らすモチベーションになるようです。
髙木栄一 私は、親が経営していた下宿で育ちました。20人から30人くらいが住み、まかないを出す形式で、茶の間は夕食の後に飲み会になる(笑)。シェアハウスはもともと、ひと昔前には多くあった下宿の流れを引き継いでいるのではないだろうかとみています。
 私は中学卒業後も高校では運動部に所属し寮生活だったので、大学に入るときにはもう人のしがらみがいやで、ひとりで自由気ままに暮らしたいと思っていました。それで、今でもそれほど積極的にはシェアハウス事業をしていないのかもしれません。特定の方からシェアハウスの形態の相談を受けて手がける程度です。最近では、ファミリー向けマンションが供給過剰になったためにシェアハウスにする例もありますが、貸し主にとっては収支がよくなるので歓迎されるようですね。都市部で1~2割アップしますし、郊外だともっとよくなるでしょう。
内山 たとえば3LDKで10万~12万円で貸すところを、1部屋5万円×3室=15万円で貸せますね。ランニングコストは家族分よりも余計にかかりますが。
 もともと高級マンションとして売り出されたところではシェアハウスにすると、管理組合ともめる例もみられますが、以前のように坪2万円で貸すのは難しい時代です。こうしたことも、いわゆるシェアハウスが増えている背景にあります。
  • 1/6
  • →
  • Drawing
  • Profile
  • Data

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら