特集/対談

シェアハウスはインターネットと親和性が高い

——もともとシェアハウスというと、欧米で集合住宅の住戸を複数の人に貸すイメージがありますね。

髙木 日本での原点は、やはり寮や下宿ではないかと思います。
内山 そうですね、隣に大家さんが住むような形態ですね。
 大型できちんとしたシェアハウスを手がけたのはリビタが初めてだと思いますが、その時点で単身の多世帯が同じ建物に暮らすケースは、ゲストハウスと呼ばれるものしかありませんでした。あいた寮を、外国人バックパッカーなどをメインターゲットとして貸し出すようなもので、そこに日本の若い人が外国語も学べるというので住みはじめていました。
髙木 ちょうどいいタイミングでしたね。企業は福利厚生を見直さざるをえなくなり寮を手放す時期でしたから、建物をシェアハウスとして活用するにはチャンスでした。
内山 上物の建物がついていると土地代でも売れませんから、土地代から見込まれる解体費を下げたぐらいの価格で購入していました。それに費用をかけてリノベーションしたわけです。当時は一部の建物を老人ホームへと転用していましたが、用途変更での規制があまりにきびしく、その後は続きませんでした。

——シェアハウスが一般的になった背景には、インターネットの普及で特定のターゲットに情報が伝わりやすくなったことも関係していますよね。

内山 むしろネットだけです。
 シェアハウスは、リアル店舗に行く必要がない市場ですから。情報発信の割合としては独自サイトで6〜7割、シェアハウス専門ポータルサイトが3〜4割。それですべてです。インターネット上の店舗が窓口となって顧客見込みの方とやりとりをし、現地で待ち合わせて、自社オフィスで申し込みという流れです。それで、いわゆる飛び込みではなく、ほぼすべて明確な目的をもって来られる方ですね。
髙木 確かに、店舗に直接来られる方よりも、インターネット経由の方のほうが理解度は高い傾向にありますね。
内山 サイトの見せ方や伝え方によっても、コンタクトをしてくる人の雰囲気は変わるようです。
髙木 キラキラな雰囲気でつくると少し派手好きな人が集まってきますし、落ち着いた雰囲気を求める人はやはり落ち着いたサイトに引き寄せられるのでしょうね。

——街にたくさんある不動産業者にとっても、シェアハウスはチャンスなのでしょうか。

内山 現在、街場の不動産業者は廃業が多い状況です。全宅連(公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会)のデータをみても、2代目が継いでいないことが顕著に現れています。違う会社に譲渡されるなどして、不動産仲介・賃貸は、大手業者が寡占する方向に進んでいます。よほど地域にコミットしてその地域での価値を見出している業者以外はきびしいでしょう。リビタでは、地域の不動産業者から遊休土地活用の相談を受け、シェアハウスやコレクティブハウスの提案をすることもあります。

——髙木さんがかかわられた矢来町のシェアハウスは、もともと入居者が決まっていたという点で、特殊な事例でしたね。

髙木 入居者は残りふたりを募集していました。すると応募する人がたくさん来たので、入居審査をさせていただきました。
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