特集/対談

入居者をまとめて運営するためにイベントを活用

——シェアハウスなどでは、合わない人がひとり入居すると大変そうですね。実際にはどうですか。

髙木 たとえば10人のなかにひとり、合わない人がいると大変でしょうね。
内山 それは問題が大きくなりそうですね。50人にひとりとなると、逆に楽です。大勢のなかに入らなければならないシェアハウスでは、人の目が気になるからです。何か騒ぎを大きくするにしても自分でおかしなことに気づいて、そのシェアハウスから退去するか、目立たないように静かになって薄まるかのどちらかです。
 もちろん自然浄化されるのを待つのも大変ですから、入り口の時点でコミュニケーションを醸成して、できるだけ入居者同士の距離感が縮まるイベントを定期開催するようにしています。
 ポイントとなるのは、入居者にコアメンバーが居つづけることです。一人ひとりがバラバラの状態をつなぐ自治組織のようなものが自然にできるといい。運営者としては、シェアハウスの内部に自治意識をもたせるのが重要な役割です。規制を多くかけるとおもしろくなくなってしまうので、基本となるベースを用意し、ローカルルールを走らせるという考えです。
髙木 下宿のように、大家さんが一喝すればいいという話ではありませんからね。
内山 管理人を置かない代わりに、社内にはコミュニケーションマネジメント専門のスタッフを抱えています。問題があれば対応するほか、住民同士の接点をもちつづけるため入居後のコミュニケーションをとり、イベントを開催したりします。何かイベントをするには許可の必要な共用部で行うことがほとんどですから、まず自主的にやりたいことの相談を受けて、サポートします。
 最近では、シェアハウスを飛び出して外でイベントを開催することもありました。シェアハウス対抗のフットサル大会や駅伝大会などです。2012年の秋にはタブロイドという施設で「大人の文化祭」を開催しました。シェアハウスごとに出し物を考えてブースを出展する、というイベントです。住民は友人を連れて訪れましたから、シェアハウスのクチコミ宣伝にもなったと思います。
髙木 シェアハウスは、もともとは小さな規模から始まりました。事業展開して大きくなると、おもしろいことが起こりますね。
内山 現在リビタでは、13棟835室(2013年末)のシェアハウスを運営しています。今のところ、少人数のケースはリビタでは扱っていません。最近では大きめの規模のシェアハウスをしようとする事業者は増えていて、リビタと提携する動きも出ています。たとえば電鉄系のディベロッパーは、沿線の高齢化が郊外になるほど速いスピードで進んでおり、シェアハウスを若年層を呼び込む契機にしたいと考えているようです。
髙木 ベッドタウンを含めて、都市圏ではシェアハウスがもつポテンシャルは高いでしょうね。
内山 北海道でも、札幌から電車で20分の場所で他社が手がけるシェアハウスの運営をお手伝いしていますが、好評と聞いております。一方で、企業の寮や独身寮の運営の手伝いをすることもあります。企業文化の継承の側面や、若年社員のメンタルのサポートという側面などから、再び寮を始めている企業が出てきています。ベンチャー企業でも、生産性を高めるために良好な生活空間をシェアハウスのような寮として提供するところも増えています。
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