特集/対談

入居者像の分析でみえてくる傾向

髙木 入居者の出入りの頻度はどれほどでしょうか。
内山 当初想定したより長く、1Rのオルタナティブになっていると感じますが、最近少し出入りが増えています。3カ月の定期借家で始めましたが、今はベースを1年にしています。それでもほとんどの物件で敷金礼金はとっていないですし、初期費用が一般賃貸に比べると少なくてすむため、入るのも出るのも気楽。出入りはそれなりにありますね。ゆるやかでも内部のコミュニティに属していないと、いきなり出て行きます。できたときからずっと入居されている人もいますが、部屋数が多い物件は出入りが多い傾向にあります。入居期間を平均すると、少し前は1年半ほどだったのが、今では1年3カ月程度と短くなっています。これは、競合が多くなってきたことの表れでしょう。
 リビタがシェアハウスを始めた頃は首都圏で2000~3000戸でしたが、今では日本シェアハウス協会の調べで2万~3万戸あるといわれています。10年弱で、10倍ほどの市場になったのです。魅力を訴えるために、シェアハウスごとの強みや特徴をいっそう押し出すことが求められているように思います。
髙木 都市のなかを移動する、軽やかな生き方ですね。
内山 自分が20代だったら、シェアハウスに住んでみたいと思いますよ。
 事業をスタートしたとき、入居者は派遣で働く人など、期間ごとに職場が変わり移動する人が多いだろうと考えていました。いざ蓋を開けてみると、派遣の人は全体の1割程度で、正社員勤務のほうが多いという結果でした。くわしくは分析していませんが、日常でのコミュニケーションを以前よりも求める人が増えているのでしょうね。
髙木 みんなさびしいのかな。私は自由になりたかったけれど。そのあたりの感覚の温度差は、世代の違いから生じるのでしょうか。
内山 私が現在45歳で、シェアハウスについてはわれわれの世代がちょうど分岐点だろうと感じています。社会人になったときにバブルが崩壊し、自分よりも下の世代はリノベーションやシェアに共感します。核家族で育ってコミュニティが薄れているところで、潜在的にゆるやかな共同生活を求めているのかもしれません。
髙木 男女比はいかがですか。
内山 初めの頃は半々でしたが、今では女性が多く、6割は女性です。全物件女性専用フロアを設けておりますが、1棟まるごと女性専用だと出て行く人も多い。男性禁制となりますからね。
髙木 出身地でいうと、もともと東京近郊の人か地方出身者かの傾向はありますか。
内山 今では地方から来られる人が多いですね。学生や就職で上京する人が目立って増えているようです。最初は親御さんは「シェアハウスってなんだ」とイメージがわかないようですが、子どもと一緒に見学に来られると納得して契約をされていきます。ワンルームよりも安心感があるのですね。
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