ル・スース・ドゥ・コーダリー 
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 ボルドーの街サン=テミリオン。
 世界遺産だけあってどこも美しかった。蜂蜜色の古い建物、すり減った石畳、アップダウンする路地、すてきな看板。あいにく雨だったが、これも風情があってよかった。ワインショップに日本の宅配便業者が入っていて、ついワインを買ってしまう。
 コーダリーはそこからしばらく行ったところ、広大なぶどう畑にあるぜいたくな小さなホテル。客室40室、9スイート、コテージ5棟、SPA棟。フランスの化粧品会社コーダリーのアリス&ジェローム・トゥルバイエールが1991年から所有している。
 レンタカーにナビ(もちろん日本語)を搭載してなんとか行き着くことはできたけれど、ミシュランの地図だけを見てたどり着くのは難しそうだ。それだけボルドーのワインヤードは広く、目印も何もない。5月末だったが、見渡す限りのぶどうはすべて高さ1m以下で、平均樹齢は30年という。伸びたところで、しゃがんで収穫しなければならない。
 ホテルは何棟かが広い敷地内のそこかしこに見え隠れしている。屋根は赤瓦、みなティンバーで、枕木のような古材を豪快に使っていて、美しい村のなかに迷い込んだみたい。宿泊した部屋は1階のプレスティジタイプ。フランス窓(*)がついているから、直接庭園に出られる。目の前は緑に囲まれた静かな池。鴨だけが水を割って進んでいる。モダンな鉄の彫刻が庭園にちりばめられていて、庭園の向こうにはぶどう畑が広がる。
 部屋は古い木の床材やアンティークの家具に囲まれており田舎の気安さをうまく出している。ワードローブの扉が金網とカーテン地の組み合わせとは珍しい。ドレープと床置きカーペットがパッチワークで統一されているのもうまい。壁や天井は卵色の抑えたデザイン。テレビがワードローブに収納されているので室内は落ち着く。薄くなったとはいえ、あれがでんとあると異質なのだ。
 バスルームは優雅。バスタブは猫足付きのフリースタンディングの部屋もある。バスルームのカウンターにはトレー代わりに焼き印がついたワインの木箱の一部が使われ、雨傘と靴べらにはコルクの栓が下がっていて、ニヤリとさせられる。アメニティは当然コーダリー社。
 夕食では赤ワイン。ここのシャトー・スミス・オー・ラフィットの98年ものにしたらすばらしかった。お料理もおいしく、ついカロリー制限のことなど忘れてしまう。
 朝食の卓上にまでぶどうの木が盆栽のように置かれて笑ってしまう。
 ぶどう畑の真ん中のワイナリーを見たかったが、ツアーを予約していなかったので外観を見るだけ。
「1年に1度は来たいものだね」と話していた老夫婦がいた。SPAなど2日間コースもある。1泊だけなどという客はいないのだ。この至福を味わうには最低3日は必要です。


*フランス窓/床まで開口があって出入りできる窓。

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