自然光と緑を取り入れたトイレの展望コーナー

 次に、オフィス基準階のトイレを見学した。各階のトイレは北西角の1カ所にあり、撮影したのは11階の男女トイレ。設計を担当した東急設計コンサルタントの酒井良仁さんにご案内いただきながら、話を聞いた。
 空間の最大の見どころは、建物全体のコンセプトにも通じる外部との連続性。男女トイレとも入ってまず目に入るのが、窓からの明るい光と緑豊かな景色。酒井さんによれば、当初は開口部のスパンを生かし、緑を存分に見せる共用通路から男女トイレに分かれる案もあったが、用を足す前後に男性と女性の見合いが発生する動線を避けるべく、現在のように男女を完全に分離し、半分ずつ眺めを享受するプランに落ち着いたという。
 また、多機能トイレを独立して設けるのではなく、男子トイレと女子トイレの内部にそれぞれ広めの多機能ブースを設けた点も特筆に値する。男女別のほうが利用する人にとってはうれしいし、あいていれば誰にでも使いやすいメリットもある。
 さらに見逃せないのは、ブース内に人が入っていないときのドアの開きの角度が15度に固定される点。「これはこちらから提案しました。使用中かどうかひと目でわかるし、ドアの外に表示錠が不要なので、見ためもスマートでしょう」とは酒井さんの弁。
 実際に見ると、洗面コーナーの奥に緑が見える女子トイレも心地いいが、廊下から入ると正面に展望コーナーのようなカウンター付きの開口部が広がる男子トイレは、リフレッシュ効果がさらに高い印象だ。オフィスはホテルより下の階にあるため、緑が身近に感じられる。「仕事の合間に緑を眺めつつホッとひと息ついたり、仲間と談笑しているうちにビジネスのヒントが生まれるような場になってくれれば」、酒井さんはそう語ってくれた。

>> 東急キャピトルタワー オフィス基準階(PDF)を見る

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