特集/インタビュー①

パラメータをどう選ぶか

―― 建て主の生活と合理性の関係はどのように考えていますか。
吉村 住宅でも、生活することとは違うところでの合理性を探したいと考えています。たとえば天然の洞窟は、雨、風など自然の合理性によってつくられたものですが、住んでも気持ちいいかもしれない。生活とは無関係な原理が全体を支配して形を決めた建物のほうが、よりよいということがあるはずです。
 また、前提条件が変わると、その選択肢によって求められる合理性もまったく異なってきます。たとえば、トンネルの照明デザイン。以前は1種類のライトを並べるのが基本でしたが、最近では単調な光で事故が起きやすいというので、一定区間ごとに色温度を変えるほうがメジャーになっています。どちらを合理的とみるか。メンテナンス面から考えるとすべて同じライトにするほうが合理的ですが、事故を減らすには変えたほうが合理的です。建築の設計でも、パラメータの選び方によって結果は異なります。合理的に考えるときの入り口を、なるべく狭めないようにしたいと考えています。
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