特集4/ケーススタディ

 ひとつは小型化である。外形寸法は「SU-SI」と比べると長さで4分の1、体積で5分の1と小さく、軽い。注文から5週間以内に製作され、現地に運ばれ、2時間の工事で完成する。素早く、手軽。
 もうひとつが、鞘式とも称すべき仕組みである。外箱の内側にもうひとつの箱を差し込み、そのままの姿で小型トレーラーで運搬、現地で下ろした後、外に2本のレールを敷き、3×3×3mの内箱をそのレールにのせて引き出して完成する。運搬時の全長は4mだが、完成後は7mに伸びる。端部のトイレ・シャワーユニットとキチネットを別にすると、面積は9㎡から倍の18㎡に広がる。上下水、電気のインフラに接続すると最小限の住機能を満たすユニットが即時に完成する。
 プレファブ住宅がいくら工場生産が進んでいるとしても、このように工場で箱の形状に組み立て、後は運ぶだけという方式はほとんど採られない。現地の条件の違いへの対応に融通性が少ないこともあるが、運搬の際の寸法や重量の制限が大きく、何よりも箱にしてしまうと半ば空気を運ぶようなもので、効率がよいとはいえないという理由も大きい。
「Fred」は、運搬の便宜と効率を重視した結果として製作されたものだろう。思えばモノを送ろうとするときには、複数のものをいかに上手にまとめて梱包し、体積を最小限にし、安定したこわれにくい状態にするかが肝要で、その点で鞘式を採用した「Fred」には一理ある。家具や道具類を中に入れられることを考えると、さらに理があるといえよう。体積に比して大きな開口部には断熱、遮熱にすぐれたLow-Eガラスを採用したり、トイレとシャワーを兼用とするなど、使われ方を想定したうえで合理性を追求していることも記すに値する。

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