特集2/レポート

 石油が不足しようが大量消費されようが、建設という事業が多くのエネルギーを要することに変わりなく、化石燃料への依存の問題と無関係のはずがない。
  工業製品でない自然素材は、化石燃料を必要としないことから、建築に用いる材料として重んじられるようになった。しかし、一部の研究実験的な試み(たとえばAuroville Earth InstituteCRATerre)、草の根運動(たとえばIntentional Communities)、そして前述した低開発地域を除くと、自然素材は工業生産された素材と組み合わせでなければ建設に使われることがなかった。これは法律上の制約によることもあれば(ドイツ、ニュージーランド、ニューメキシコ州)、現状行われている工法との関連性によることもあるが(ポルトガル、イタリア、アメリカ)、建築デザインの考え方から発する興味深い事例もある(たとえばRick JoyMartin Rauch)。
 土などの自然素材に関しては、建築材料として扱う動きとは別に、概念的、美学的、批判的な用い方をしようとする試みもある。それはアートの分野にもあれば(モノ派とかランドアート)、少ないながら建築デザインの分野でも行われてきた(Smildjan RadicR & Sie)。
 ところで土は建築材料として用いられると必然的に工業製品と同一視されることになる。強度を増したり質をよくするために土を石灰やセメントやアスファルトと混合するからではなくても、組み合わせて使われることによってもそうなるのだ。たとえば土にアスファルトを混ぜるのではなく両者が組み合わせて使われる場合でも、土は工業製品になるのである。

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