小山薫堂さんとの出会い

 そもそも小山さんが金谷ホテルの顧問を務めることになったのは、一宿泊客としてホテルを訪れ、当時社長だった井上さんと出会ったのが縁だそうだ。お金で買えない歴史をもつホテルのすばらしさを実感する一方、「せっかくの財産をうまく生かしきれていない部分があったので、さっそくいろいろリクエストしました」と小山さん。
 一方、社長就任早々、増改築を重ねてきた建物のみならず、社員たちの意識改革が必要だと痛感していた井上さんにとって、純粋な客としてホテルの未来を思って意見を述べてくれた小山さんは、まさに自社に新風を吹き込んでくれる救世主。「薫堂さんにお目にかかったとたん、『あ、この方だな』と思ったんです」とふり返る。
 多忙な合間を縫って会議に参加し、多彩なアイデアを繰り出す気さくな小山さんと接するうちに、社員たちも次第に前向きになり、自分の意見も言えるようになってきた、と井上さん。「N35」も、ホテルの一室を小山さんに自由に変えてもらったらどうかという若い社員の発案がきっかけで生まれたという。

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