ヘア産業のなかで、かつて美容業界は「1兆円産業」といわれてきたが、1999年の急成長時の全美容室の年間収入（売り上げ）は、それを大きく上まわる2兆4400億円となった。理容室の収入も9800億円と美容室ほどではないが伸びており、両業界を合わせると、3兆円を超す巨大産業に成長した。94年から99年の5年間での伸びは、美容で44％、理容で14％と、バブル崩壊後の社会経済の落ち込みのなかでは信じられない数字であった（Drawing 1/4）。さらにくわしくみると美容室1店舗の年間売り上げ平均は約1409万円と40％アップ、1人年間売り上げ525万円と26％アップした。つまり店舗数の増加だけでなく、1店舗当たりの収入も1人当たりの収入も増加し、経営者のみならず就業者も美容業界に大きな魅力を感じた成長期であった。